北海道の家づくりデータベース
旭川エリア版(上川・留萌・宗谷)
2026年(令和8年)4月5日(日曜日)

国土交通省は9月8日、「2025年度サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」において採択したプロジェクトを発表した。省エネ・省CO2に関わる先導的な技術を導入した住宅・建築物のプロジェクトを支援するもので、公募により一般部門9件、中小規模建築物部門2件が選ばれた。このうち、道内は(一社)北海道ビルダーズ協会(菊澤里志代表理事)が提案した「北方型住宅ZERO【長期優良住宅】~道内普及・啓発推進事業」の一般部門1件。北方型住宅ZEROを要件の一つとした独自事業に対する国の支援は初となる。
採択された「北方型住宅ZERO【長期優良住宅】~道内普及・啓発推進事業」は、道ビルダーズ協会が独自に提案したプロジェクト。 北方型住宅ZEROをベースとした省CO2先導型住宅を道内各地に建設し、現場研修会等を開催することで、地域の建築業者とユーザーの双方に普及・啓発を行うことを目的とする。 国からの補助額は1400万円。1戸当たりの補助額は上限200万円の範囲内で同協会が設定でき、今後、理事会で決定する。 補助対象となる住宅の建築は、応募の際に同協会の会員から募集し、希望した工務店が担う。キクザワ(恵庭市)、丸三ホクシン建設(石狩市)、森栄建設(深川市)、光輝建設(網走市)、渋谷建設(函館市)、山野内建設(渡島管内八雲町)の6社で、いずれも高性能住宅の実績が豊富にある。 住宅の要件は木造の新築注文住宅で、延床面積80〜240㎡。省エネ性能について、断熱等級7、UA値0.20以下、一次エネルギー消費量等級6、BEI0.65以下(再エネ含まず)とする。 設備は、太陽光発電システムが1〜2地域10kW以上、3地域8kW以上、蓄電池7kWh以上でHEMSを設置する。また、主要構造材には地域材50%以上を使用する。 必要な認定は、北方型住宅ZEROと長期優良住宅認定建築物。この他は、BELS等で断熱性能とエネルギー性能を確認する。 現場研修会を開催することも要件の一つ。説明内容は、省CO2先導型事業や北方型住宅ZEROの仕組み、長期優良住宅のメリットについてなど。また、施主に対して住まい方の説明も行う。入居後は光熱費の月ごと集計、給湯・暖冷房の設定温度の確認、住宅の省CO2効果についての報告などを実施し、北方建築総合研究所(北総研)の連携を視野に入れている。 今回の採択理由について、評価委員会は「既に住宅性能が高い土壌がある中で一定水準を満たす質の高い住宅を供給することや、居住データを産官学が連携し評価すること、これらを地域工務店が自主的に取り組む試みは、北海道地域のボトムアップと省CO2技術の波及・普及が期待できる」とコメント。さらに、「これまで寒さ対策として断熱性能強化に主眼がおかれていたが、夏期の高温多湿への対応も必要となるため、省CO2住宅のあり方について有用な知見が得られることを期待する」とした。 同協会の中田浩司事務局長は、「地方では見る機会がなかなか無い北方型住宅ZEROを建築し、地元の人たちに見て体験してもらうことで普及につなげたい」と話した。
北方型住宅ZEROは、「2050年ゼロカーボン北海道」の実現に向け、道が2022年度に創設した住宅基準。道内の地域特性に合ったさまざまな脱炭素化の取り組みを採用することで、一般的な省エネ基準レベルの住宅と比べて1戸あたり年間2tのCO2排出量削減を目指す。各取り組みのCO2削減効果をポイントで表し、採用した取り組みの合計が10ポイントに達すると認定される。8月末時点で登録保管戸数は34戸。 北方型住宅を推進する道建築指導課は、今回の採択について「各地域で北方型住宅ZEROを実際に見ていただくことができ、多くの人に認知されるのでは」と期待を示した。また、「北方型住宅ZEROはポイント制で、採用する取り組みを選択できるため、ユーザーのニーズに合わせて建てられることを知ってほしい」と結んだ。 道は、「住まいのゼロカーボン化推進事業」を実施。北方型住宅ZEROの新築取得をはじめ、省エネ改修、太陽光パネルや蓄電池等の設備を導入する際に補助事業を行う市町村を支援している。
サステナブル建築物等先導事業は、低炭素化を図る先導的な技術の普及啓発に寄与する住宅・建築物に対して国が支援するもので、「省CO2先導型」「木造先導型」「次世代住宅型」「気候風土適応型」の四つのカテゴリーがある。 今回の省CO2先導型で採択されたプロジェクトや過去に完了したプロジェクトの紹介を中心に、追跡調査の概要、建築行政の最新動向などを紹介するセミナー「第32回 住宅・建築物の省CO2シンポジウム」がオンラインで開かれる。 (国研)建築研究所と(一社)日本サステナブル建築協会(JSBC)の主催で、国交省が共催。 日時は10月29日(水)午後1時から5時。参加は無料。JSBCのホームページから申し込める。