北海道の家づくりデータベース
旭川エリア版(上川・留萌・宗谷)
2026年(令和8年)4月7日(火曜日)

道はこのほど、北方型住宅の住宅履歴を保管するきた住まいるサポートシステムを改修し、一般ユーザーが北方型住宅ZEROの建築実績を検索できるようになった。北方型住宅ZEROの登録第1号はキクザワ(恵庭市)で、2月20日現在2件の実績が登録されている。そのほか北翔建設(登別市)も1件を登録している。太陽光発電だけでなくさまざまな手法を組み合わせて住宅の省エネ化を促進し、ゼロカーボン北海道を目指す取組みだが、本格的な普及はこれから。先行して取り組んだ2社の事例を取材した。

北翔建設の登録住宅=室蘭市

キクザワの登録住宅=千歳市
キクザワの登録物件は木造枠組壁工法2階建で延床面積114.48㎡。2×6の外壁に高性能グラスウール20K140㎜を充填。付加断熱に熱伝導率0.018(W/mK)のフェノールフォーム45㎜厚2枚を重ね張り。
屋根断熱に高性能グラスウール20K370㎜。基礎立ち上がり部分の外側にビーズ法ポリスチレンフォーム120㎜、土間下にも同60㎜を施工。窓はすべてU値1.2(W/㎡K)以下のトリプルガラス樹脂サッシを使用し、UA値は断熱等性能等級7をクリアする0.19(W/㎡K)だ。
北方型住宅ZEROの認定制度ではさまざまな省エネ化の取組みに対してポイントが設定されており、これらを組み合わせて合計10ポイント以上を達成することで要件を満たす。
例えば北方型住宅2020の基準をベースとして、さらに外皮性能を強化するとポイントが加算される。この物件の場合、「UA値0.20以下」で5ポイント。さらに「窓のU値1.2以下かつ日射熱取得率η0.3以下」で3ポイントを獲得している。
外皮性能に加え、発電容量12.48kWの太陽光発電パネルを屋根に設置。高効率なハイブリッド給湯器を給湯と暖房に利用し、一次エネルギー消費量を創エネと差し引きでゼロにするZEHの要件を満たす。屋根に6kW以上の太陽光発電パネルを載せると6ポイント、さらに建築地が多雪区域外だと1ポイントが加算される。
また、主な構造材に道産木材を活用していることで2ポイント。夏に効果的に通風ができる窓の仕様や配置を行い1ポイント。合計10ポイント以上の認定基準を大きく上回る。
設計を担当した同社の金谷純子常務は「標準仕様でベースとなる北方型住宅2020の基準は超えているので、もう一段上の住宅を提供しなければと考え、北方型住宅ZEROの家ができた」と語る。
「実際に北方型住宅ZEROを作り、わたしたちが発信することで一般の方に知ってもらえる。建てた後で光熱費がかからない家を普及するため、工務店ができることをやっていきたい」。
北翔建設が北方型住宅ZEROの認定を受けた物件は、木造軸組工法2階建で延床面積115.93㎡。こちらもUA値0.19で断熱等性能等級7をクリアするZEH仕様だ。 外壁の軸間に高性能グラスウール16K105㎜充填。付加断熱にも同210㎜を使用。天井に吹込み用グラスウール400㎜。基礎立ち上がり部分の外側にはビーズ法ポリスチレンフォーム150㎜、内側には押出法ポリスチレンフォーム50㎜、土間下にも同50㎜を使用。外皮性能の強化で5ポイント、窓はトリプルガラス樹脂サッシで3ポイントを獲得した。 屋根に発電容量10.32kWの太陽光発電を搭載し、6kW以上、多雪区域外で7ポイント。さらに蓄電池の設置で5ポイント、第一種熱交換換気の導入で3ポイントが加算されている。 大きな特徴として、床下に寒冷地用エアコンを設置した全館空調システムを自社で設計し、導入している。換気装置で熱交換して床下に取り込んだ外気をエアコンで暖め、床下全体を巡らせて1階床ガラリから放出する。自社で許容応力度計算を行って基礎の構造を決めているため、床下を空気が循環しやすいように設計できる点が同社の強み。 高い外皮性能と太陽光発電や蓄電池、高効率な設備を組み合わせた全館空調システムで消費エネルギーを最小限に抑える家づくりを進めるのは「自分の家を建てるような気持ちで考えたら光熱費の負担はできるだけ軽くしたいから」という渡部勉社長。 北方型住宅ZEROを目指したというよりは、顧客の初期投資の負担を少しでも抑えるために補助金の要件を満たしていくと「自然に北方型住宅ZEROの基準をクリアした」という方が近い。ただ、いずれにしても多くの道民に良質な住環境と光熱費負担の少ない暮らしを提供するという方向性に違いはない。