北海道の家づくりデータベース
室蘭エリア版(胆振・日高)
2026年(令和8年)4月7日(火曜日)

道産トドマツを使った丸三ホクシン建設の首藤社長
ウッドショックの影響が道内で本格化する中、輸入材頼みの現状を脱却し道産材を活用しようという機運が高まっているが、原木供給や道内製材工場の生産能力など課題も多い。先の見えない海外の需給動向にこれ以上振り回されないためにも、信頼できる道産材のサプライチェーンを構築、強化していこうという長期的な視点が需要側、供給側の双方に求められている。
北海道木材産業協同組合連合会(道木連)はこのほど、道内の製材業者、プレカット業者、工務店を対象に、ウッドショックに関するアンケート調査を行った。
工務店に対する質問で道木連が注目したのは、「今後輸入材が値下がりし、道産材の方が立米あたり2万円ほど高くなったとしても、安定供給が受けられるなら一定の割合で道産材を使い続けられるか?」という項目。輸入材の動向に左右されない安定した需要がなければ、製材工場が設備投資して生産能力を増強することは難しい。
最も多かったのは「(木材使用量の)1割程度なら道産材を使い続けられる」という回答で、全体の3分の1を占めた。そのほか、「3割以上」、「5割以上」を合わせると、全体の4分の3以上が「道産材を使い続ける」と回答した。
プレカット工場に対しては、現在の在庫状況や仕入れ価格、今後の入荷の見通しなどを聞いた。とくに羽柄材に関しては在庫量も今後の入荷見通しも厳しいという回答があり、年内に在庫が底をつく工場が出てくる懸念もある。
製材工場へのアンケートでは、ほとんどの工場で乾燥機の稼働状態が90~100%という結果に。材料の原木もすでに在庫がなく入荷待ちで、今後の入荷も期待できないという工場があり、現状の生産体制の限界が浮き彫りとなった。
道木連の内田敏博副会長は「原木の供給は今後増える見通しだが、製材が追い付かなければ原木のまま道外に流出してしまう恐れがある」と指摘。ボトルネックである乾燥設備を増やすためには「プレカット工場と製材工場の結びつきを強め、資本提携なども含めたデマンド・サプライチェーンを構築していく仕組みが必要だ」と語る。
ウッドショックをきっかけに輸入材から道産材への切り替えを考える工務店が増えている。しかし流通量は少なく、輸入材のように決まったルートから必要な量を一括で仕入れることは難しい。
実際に道産材を活用しているビルダーに話を聞くと、ウッドショック以前から道産材に関心を持っていて、自ら生産現場に足を運んで関係を築き、長期的に関係を維持していこうと考えている点が共通している。
丸三ホクシン建設(石狩市、首藤一弘社長)は昨年10月、オホーツク総合振興局や同管内興部町の興雄地区森林育成協同組合と道有林材の利用促進に関する協定を結んだ。現在、使用している木材のほとんどが同総合振興局が管理する道有林から供給されている。
同社は協定以前から道産トドマツの集成材や羽柄材を積極的に使っていたが、なかなか必要な量が集まらず、さまざまなルートから少しずつ調達していた。しかし昨年春、苦労して探した仕入れ先の一つである紋別市の佐藤木材工業の呼びかけから協定締結が実現し、安定して供給を受けられるようになった。
協定を結んだ時点では仕入れ価格は輸入材より1~2割高かったが、「高い安いという問題よりも安定して道産材が手に入ることがありがたかった」と首藤社長。その後、ウッドショックが起きて輸入材の高騰や供給不安が本格化。「結果的に協定で助けられた」と言う。
道産材も需要急増で供給に時間がかかるようになってきており、価格も上がる見通しだが、「仕入れが止まることはない」と、協定で結ばれた関係の心強さを実感している。
藤城建設(札幌市、藤城英明社長)は5月、製材、集成材、プレカットの三本柱の事業を展開するハルキ(渡島管内森町、春木真一社長)の製材工場を視察した。

ハルキの工場を視察した藤城建設のメンバー
ハルキが年間に生産する製材の約7割が道産材。自社の山林を保有し、素材生産から製材、プレカットまで一貫した生産体制を持つ。今年11月に第4製材工場の新設を予定しており、急増する道産材需要に対応する。
藤城社長は「頑張っている地元北海道の生産者を応援したい」と、仕入れの一部にハルキの道産材の採用を決めた。今年度は4棟分、今後も段階的に増やしていき、将来的には「道産材100%」も視野に入れる。
同社はウッドショック以前から道産材の活用を模索してきた。施工棟数が年間100棟規模の同社にとって、輸入材より1~2割高い仕入れコストは大きなハードルだったが、環境負荷を低減する地材地消の取組みにいち早く動き出したことで新たなパートナーとのつながりを得た。
ウッドショックで輸入材の価格優位性が崩れた今は「道内の木材供給業者が自立循環可能な生産体制を整えるチャンス」と強調する藤城社長。「今だけではなく今後も必ず応援していく。長い付き合いの中で信頼関係を築いていければ」と、ハルキとの長期的、安定的な共存関係を見据える。