北海道の家づくりデータベース
室蘭エリア版(胆振・日高)
2026年(令和8年)4月7日(火曜日)

(一社)北海道ビルダーズ協会(武部豊樹代表理事)内に設立された大工育成委員会。(一社)JBN・全国工務店協会の大工育成プロジェクトの流れをくんで、大工育成に関する普及活動を実施し、全国へ提案するモデルケースを構築する。同委員会の委員長として普及活動の一端を担う丸三ホクシン建設(石狩市)の首藤一弘社長に活動内容とこれからの展望を聞いた。
JBN・全国工務店協会の大工育成プロジェクトは一昨年の8月から準備を進め、昨年の夏から本格的に活動を始めました。JBNの活動は全国版のため、地域の実情に即した普及活動を推進するために地域団体に対して大工育成委員会の立ち上げを呼びかけました。道内は昨年11月、北海道ビルダーズ協会の中に大工育成委員会を立ち上げ、道内の大工育成に向けた普及活動をスタートしました。
ビルダーズ協会の武部豊樹代表理事がJBNの大工育成プロジェクトリーダーを務めていることから、大工育成委員会が全国に先駆けてモデルケースを提示したいと思っています。
北海道の事例を全国に説明し、取り組みの結果を共有するのがJBNの狙いです。
新卒者への普及活動としては、工業高校や専門学校を訪ね、社員として雇用して育てるというスタンスや現在の建築業界の状況を伝え、就職までの流れを説明しています。
大工が減少している大きな原因として、社会保険制度の未整備などの雇用環境が悪すぎる面があります。そうした仕事を親御さんや進路指導の先生が勧めるかというとまず避けます。大工という仕事は職業選択の第一段階で落とされてしまいます。新卒者を受け入れる工務店も最近まで少数でした。仕事が切れた時に給料が払えないから雇用を躊躇し、仕事がある時に誰かに頼めばいいという常識が30年近く続いてきたわけです。これからは大工を雇用しないと仕事が取れないという逆転現象が起きると思います。
一般社会に対して大工という職種をPRする場も確保しなければなりません。いくら学校側に説明しても子供たちや学生が大工になりたいと思わなければ意味がありません。子供たちに向けた活動はもちろん、もう少し年齢が高い中高生などに向けたPRの必要もあると思います。
大工育成委員会の活動とは別に昨年7月、大工同士のネットワークの構築を目的に「大工ネットワーク北海道」が設立されました。基本的には工務店の垣根を超えて大工の仲間づくりをしていこうというのがネットワークの目的です。育成委員会としてもこの活動を支援し、将来的には工務店間で大工が行き来する「応援ネットワーク」を作りたいと考えています。若い子を入れても仕事が続くかどうか、きちんと育成できるかわからない、仕事が忙しい時に人がいない、暇な時に人が余るという共通の悩みを工務店経営者は持っています。工務店が連携することにより大工が行き来してお互いの忙しさをカバーできれば、大きなネットワークの中で大工職人を育てることができるのではないでしょうか。
委員会として学ぶ場を提供するため、札幌で新たに認定訓練校の立ち上げや、全道の認定訓練校の活用を視野に入れています。
職業能力開発促進センター(ポリテクセンター)と連携して1年間のカリキュラムを組んでもらい、4月からOFF‐JT(職場外研修)を始めます。OJT(職場内研修)については見習い大工の作業や教え方をリストアップして配布することを検討しています。これまで育成経験がない経営者や棟梁は新卒者の教育に不安があるようなので必要性を感じています。
ビルダーズ協会や大工育成委員会として、社会保険労務士に育成に対する補助金申請の手助けをしてもらうことを考えています。スタッフの数が少ない工務店さんが多く、費用はかかりますが煩雑な手続きを代行してもらうことが必要だと思います。
指導する棟梁の意識づくりも必要です。棟梁たちも仲間がいないと情報交換ができないのでネットワークがあっていいと思います。あるいは交流の場を作ることも大事です。そうしたことを積極的にやっていくのが委員会のなすべきことだと思います。そのため、指導棟梁に対する研修会を実施し、個々の大工の中で次のリーダーになり得るような良い人材を引き上げる場面を作り出します。
仕事を教える指導棟梁も高齢化し「墨付けなんて何十年もやってない」と言われてしまうような状況です。このままでは技能を伝承するサイクルが途切れてしまいます。だからこそ指導できる人間を育て続けなければなりません。
大工育成の説明会で全国を歩いていても、かなり意識の高い工務店が集まってくるのですが、それでも職人の高齢化の流れは止められないという話を聞きます。自社で大工を雇用して育てることが工務店のあるべき姿ではないでしょうか。
委員会の今後の主な活動は、まずはビルダーズ協会会員に向けたものになりますが、会員でない工務店も委員会の活動に協賛していただき、ビルダーズ協会やJBNへ入会すれば大工育成に向けた活動の幅が広がると思います。