北海道の家づくりデータベース
北見エリア版(オホーツク)
2026年(令和8年)10月16日(金曜日)

マルサ佐藤建設(函館市)は、地元函館にふさわしい建物と住まいを追求した新事務所兼モデルハウスを昨年12月に完成した。今夏よりホームページも一新し、本格的な集客に乗り出すという。設計・施工を手掛けた同社の佐藤健太郎専務に話を聞いた。
場所は函館市の中心部に近い千代台町。通りに面し、車や道ゆく人の目を引く角地にある。建物は延床面積234.35㎡の2階建。1階が事務所と打ち合わせスペースでガレージ付、2階がモデルハウス。
外観は、歴史を継承する蔵をイメージしている。切妻屋根で、色は黒・グレーが基調。2方向から眺められる東側の壁面は窓を設けず、伝統的な亀甲葺きを施した。亀の甲羅のような六角形の金属板を貼り合わせるもので、加工も施工も職人が一枚一枚手作りで行った。佐藤氏は、「亀甲葺きができる職人は今では数少ない。その人がいるうちに作品として残したいと思った」と話す。
この他、外壁には金属サイディング、窯業系サイディング、タイル、そして地域材の道南杉を使った木外装を組み合わせた。家を建てたい顧客が、それぞれの特徴を比較できるようにとの配慮からだ。
また、同社が得意とするゼロエネルギー住宅を実現するため、太陽光発電パネルを屋根に21枚(9.45kW相当)、壁面に7枚(2.59kW相当)設置。蓄電池と電気自動車を組み合わせ、必要な電力を賄っている。

亀甲葺きを施した外観

モデルハウス
2階のモデルハウスの住居部分は85.30㎡。「階段スペースを玄関にしたら、そのまま実際の平屋になるような間取りにした」と佐藤氏。コンパクトだが高い天井と、リビングとほぼフラットに連なるバルコニーなどの工夫により広く感じられる。
開口部は、北側に大きい窓が多く設けられている。これも意図があり、従来の北向きの家は寒いという考えを払拭し、「これだけ暖かくできると知ってもらうことで、方位ではなく土地の形状や風景に合わせた自由な設計を可能にする」と佐藤氏は説明する。
モデルハウスの見どころの一つは、同社オリジナルの全館空調換気システム「匠の換気」(特許取得済み)だ。
仕組みは、第二種換気で新鮮な外気を計画的に取り込み、高性能フィルターを通じて浄化したうえで床下へ送る。暖房は床下のエアコン1台。自然対流を利用し、暖まった空気が壁内の通気スペースを通って上昇、ガラリから室内に放出され、各室のドアの上に空けたスリットを通って家中に自然の力で送り込まれる。
循環した空気は、住宅の気密性により1ヵ所だけの排気口から自然に出ていく。冷房は2階のエアコン1台で、夏も冬も家全体が一定の温度に保たれる。ダクトも室内の暖房機器も不要だ。
佐藤氏は、「機械は最小限の家が理想」と話し、ダクトがなく、メンテナンスが簡単な匠の換気はその一つの答えと強調する。
長期優良住宅など、きちんと建てられた家は躯体だけなら50年以上持つ。100年でも大丈夫かもしれない。しかし、ダクトがあると、そのメンテナンスを住人が怠ったら30年ほどでダクトが閉塞する。取り替えるとなると躯体に手を入れる大工事になり、費用がかかる。
匠の換気は、機械は外気の取入口の1ヵ所だけで、日々のメンテナンスはそのフィルターを掃除するだけで済む。将来的にも安心だ。
佐藤氏は、顧客の困り事を解決する「修繕」の仕事を大切にしているという。そこから見える新築の理想形を、このモデルハウスが体現している。