北海道の家づくりデータベース
札幌エリア版(石狩・空知・後志)
2026年(令和8年)7月28日(火曜日)
久末弘信建設(札幌市)は、注文住宅を中心にエクステリアを含めた設計、施工を行う老舗ビルダー。
同社によると、最近の住宅の売れ筋は「駅前の狭小地」で、ユーザー(建て主)の意識は、「土地が狭くても気にならない。庭はいらないが、車2台の駐車スペースはほしい。外でバーベキューをしたい」という要望が多いという。
バーベキューのためのスペースは必ずリクエストがあり、バルコニーの設置を希望するが、仕上げ材にFRP防水を使用することが多く、火を使えない。そのため、車庫やカーポートの中でバーベキューをするというケースも少なくないという。
新築の相談では、何より間取りと価格が最優先。そのためエクステリア商品の中で、カーポートや物置の需要が大半。カーポートは積雪2mタイプ、柱が6〜8本、色も限定されたリーズナブルな既製品を利用する場合も多いという。
エクステリアに要する費用は、例えば4畳半のデッキに手すりを付けて数十万円までなど、使用する商材によってピンからキリまで。
最近はリウッドデッキや目隠しのためのスリットブロックなども人気で、手すりやデッキの素材とリビングの床を合わせ、統一感が出るようにメーカーと検討しながら造りあげるという。
工務店がエクステリアを提案する際、どのようなアピールが可能か。
例えば、夏場に外でプール遊びの庭が欲しいという要望に、土であれば子供の足も汚れるため人工芝やデッキの提案をした例や、車庫の隣のちょっとした空き地に坪庭を造り、施主から感謝された例もあったという。
同社が最近、JR駅前で販売した戸建住宅には、小さなリビングテラスに平板3枚分の土のスペースを設け、小さな花壇や菜園を作れるようにした。テラスには扉が付いていて、庭として使わない時は奥まで車が入り、駐車スペースとして利用できる工夫がされている。
同社は顧客の要望に応じて、庭やガーデニングの設計なども行ってきた。設計を担当する名古屋志津子設計室長は、「普通の家でも庭を造るだけで個性が生まれます」と話す。花壇のある庭を希望している施主には、完成形の図面を作り、図面の端に商材の写真を添えて実際の庭がイメージしやすいよう配慮をしているという。
庭全部を最初から造るのは高額で手が届かない人もいるため、塀など大きな部分だけを造り、残りは施主の創作に委ねるパターンも多いという。
玉砂利やレンガ、コンクリート平板など、使用する素材やLEDなどの照明もアドバイス。ブロック塀を左官の工夫で波打った南欧風の白壁に仕上げたり、子供の手形を象った例も。「こだわりの家づくりの手伝いをするのも仕事のひとつ」とのこと。ただ、工務店にとってエクステリアは、まだまだ「ついでの仕事」の意識が根強いという。
一方で、見方を変えれば、エクステリアの工夫で、住まいの提案の幅を広げることも可能だ。
名古屋さんは「家とトータルでお仕着せがましく提案するのではなく、狭小地でもライトコートなど採光のために考えたスペースとして提案し、そこがたまたま、家族が外で楽しめる空間となるように誘導していくのも設計者の腕の見せどころ」と話す。