北海道の家づくりデータベース
札幌エリア版(石狩・空知・後志)
2026年(令和8年)6月10日(水曜日)
断熱資材メーカーのアキレス(東京都)が製造、販売する「アキレスボード」を採用する全道のビルダー・工務店グループ「ソトダン21」の視察&研修会が7月19日、空知管内南幌町の「みどり野きた住まいるヴィレッジ」で開かれ、全国各地のビルダーや工務店、建築士らを含む約110人が参加した。「住まいと環境 東北フォーラム」などとの共催。
みどり野きた住まいるヴィレッジは、道が推進する「きた住まいる」制度の登録メンバーである道内の建築家と地域工務店の6組がコラボレーションし、南幌町で家づくりだけでなく豊かな暮らしとまちづくりを提案する新しいタイプの住宅展示場。道と南幌町、北海道住宅供給公社が主催し、6月2日にオープンした。2日間のオープニングイベントには約1200人が来場。モデルハウス6棟のうち5棟が竣工済で10月末まで展示を予定。この1ヵ月間には家族連れを中心に約400人が訪れた。
研修会で、道建築指導課の渡邉純一建築企画グループ主幹が「きた住まいるヴィレッジが生まれるまで~産学官連携による北海道の住まいづくり~」と題し、同ヴィレッジの主催者として趣旨を説明。防寒対策を主軸に性能向上を定着させた本道の住宅づくりの歴史的背景を踏まえながら、「省エネ耐震耐久性能のハイスペックな住宅建築に向けた『きた住まいる制度』は2014年にスタート。現在243の工務店や設計事務所が登録している。『きた住まいる』の普及と南幌町への定住促進を図りたい」と話した。
ヴィレッジアドバイザーとして連携サポートする日本建築家協会北海道支部の照井康穂副支部長が、同ヴィレッジのコンセプトである①小さく豊かに暮らす=ライフスタイル②この「まち」で暮らす=まちづくり③長くていねいに暮らす=住宅のイメージーを紹介。本道は大手ハウスメーカーの進出により地域工務店との差別化が課題の一つで、「住宅の積雪寒冷地仕様に加え、北海道独自のライフスタイルの提案など空間の活用が重要。本道の防寒技術が普及した今、これからは暮らしの質の向上が命題」と提言した。
竣工した5棟のモデルハウスの設計者である山本亜耕建築設計事務所の山本亜耕代表、山之内建築研究所の山之内裕一代表、アトリエmоmоの櫻井百子代表、エスエーデザインオフィスの小倉寛征代表、ATELIER O2の大杉崇代表の5氏が、各モデルのプランについて説明。
北海道大学大学院工学研究院の菊田弘輝准教授は「環境測定概要とパッシブ技術」と題し、モデル5棟の室内温度や相対湿度、CO2濃度、グローブ温度、床表面温度など計測内容について報告した。5棟いずれも暖房設備にエアコンはなく、パッシブ換気導入が2棟で、UA値はすべて0.22W/㎡K以下の札幌版次世代住宅基準(新築住宅)のハイレベル等級をクリア。南幌町の気候は北側に隣接する江別市に近いと説明した上で、「夏季の換気が課題。相対湿度で100%や90%の測定値があり結露に注意すべき。床下環境に着目してほしい」と指摘した。
研修終了後、参加者を5グループに分けて現地視察会を実施した。
(写真:モデルハウスを視察)
討論会が行われ、北海道ビルダーズ協会代表理事でモデルハウス施工に参画した武部建設の武部豊樹社長が同ヴィレッジについて、「行政が主催し、建築家と設計者によるコラボだが、主役は工務店。基本設計や実施設計の第1段階で、互いの得意分野を話し合うなかで、必ず得るものがある」と紹介。その上で今後、同様のプロジェクトの継続実施や、施工段階での施工管理と設計監理の融合などの課題を挙げ、来場者に「今回来道された動機や、次のステップに向かうための貴重な意見をぜひ聞かせてほしい」と呼び掛けた。