北海道の家づくりデータベース
札幌エリア版(石狩・空知・後志)
2026年(令和8年)6月10日(水曜日)
道内の工務店グループ、ソトダン21(髙橋広明会長)と東北、信州の住宅関連団体は、6月20、21の両日、札幌市内で「合同研究会イン北海道」を開催した。北海道ビルダーズ協会の武部豊樹代表理事(武部建設社長)が、同協会の大工育成の取り組みを紹介。「大工が力を発揮できる、やりがいのある仕事を、どのようにつくるかが経営者の課題」とした上で、「工務店の最大の競争力は『大工の力』」と強調した。
冒頭のあいさつで髙橋会長は「本研究会は参加者が切磋琢磨しながら新しい時代を切り開いていく集まり。様々な研究が発表されるので、地元に持ち帰り、仕事に活かしてほしい」と参加者に呼びかけた。
「北海道からの情報提供」として大工育成の取り組みの必要性を訴えた武部氏は「1985年のピーク時に93万人だった建築大工は、2015年は37万人にまで落ち込んだ。減少に歯止めがかからず10代の大工はほとんど存在しない」と大工不足の厳しい現状を指摘。
こうした中で、全国86団体・会員企業3000社で構成するJBN(全国工務店協会)は、「大工育成プロジェクト」の中で、「ガイドライン」を作成。19年には改訂版を発行し、取り組みを進めていると説明。
大工不足解決のキーワードは「採用」と「育成」とした上で、「ハードルは高いが、『大工の社員化』が求められている。雇用条件を提示し有給休暇、給与体系、退職金制度などを就業規則で明確にした上で、雇用契約を締結しなければならない」と強調した。
小規模工務店では同世代の社員が存在しないため、若い大工は孤独になりがちであり、企業を横断した仲間づくりを進めることの必要性にも言及。「入職時に大工人生を明確に示し、会社と共通認識を持ってもらうことが重要」として「私の夢は大工の学校をつくること」と結んだ。
基調講演では国立保健医療科学院生活環境研究部の金勲(キン・ムーン)上席主任が「室内空気質と健康」と題して、化学物質過敏症とシックハウス、室内空気汚染物質などについて解説した。
省エネ規制の強化により高気密・高断熱が進み、換気量が低下するとともに、新素材の建材使用で化学物質の放射量が増加するなどの室内空気質汚染問題を指摘。
「気密化は換気量を増やすための手段ではない。省エネの観点からは熱回収による第一種換気がベストだが、経年変化を考えると、室内の埃でフィルターが目詰まりする、超高齢化社会でメンテンナンスできるのかという問題が存在する」と述べた。
金氏は気流の可視化と換気測定の結果を紹介した上で、「真の全館空調を実現することは難しく、人口が減少する中で、むしろローテク主体の環境づくりが長持ちするのでは」と疑問を投げかけた。