北海道の家づくりデータベース
札幌エリア版(石狩・空知・後志)
2026年(令和8年)6月10日(水曜日)

北海道職業能力開発促進センター(ポリテクセンター北海道・札幌市)は1月24日、見習い大工育成研修会の3年間の集大成になる講義を開催した。
同研修会は、(一社)北海道ビルダーズ協会が若手大工の育成を目的に同センターと連携して行っているもの。入社3年以内の大工を対象に、3年間にわたる育成プログラムが組まれている。
この日のテーマは、「振れ隅工法の加工実戦技術」。建築大工技能士1級レベルの難しい技術だが、受講者たちはこの3年間で積み上げてきた技能を駆使して取り組んだ。
柳原万智子さん(武部建設・岩見沢市)は入社してすぐに同研修会の受講生となり、「電気設備の設計など普段の現場では経験できない様々な技術を学べて視野が広がった」という。
大学で林業を学んだ柳原さんは「木が好きで、木を使ったものづくりがしたい」と、卒業後の職業として大工を選んだ。木造建築に定評のある武部建設に入り、棟梁のもとで伝統的な大工技術の習得に励んでいる。
今までで印象的だった現場は、伝統工法の真壁づくりの家。柱や梁が木組みのあらわしで、先輩大工たちと一緒に手刻みで作った。木をふんだんに使った住宅はやりがいがあり、「自分が刻んだ木材がぴったり組み合わされるとうれしい」と柳原さん。日々、木と向きあう仕事を楽しんでいる。
加藤澄人さん(川口建設・札幌市)は高校卒業後、迷わず大工の道に進んだ。「父が大工だったので、大工になるのは自然なことだった」と話す。
同研修会について「周りに同世代の大工がいないので、研修会で知り合えてよかった。お互いの会社や仕事のことを気軽に話せる」と、学びだけではなく仲間づくりにも励みになっていると話した。
将来の目標は、「一人前になって棟梁になること」。1月に建築大工技能士2級の認定試験を受けた。結果がわかるのは3月。資格取得も目標への一歩だ。
「新人大工の半分は3年以内に辞めていく」と道ビルダーズ協会理事の首藤一弘氏(丸三ホクシン建設社長・石狩市)は話す。若手の育成は住宅業界にとって急務の課題だ。
同研修会は、(一社)JBN(全国工務店協会)が作成した「JBN大工育成ガイドライン」に沿って行われている。入社して3年間で習得すべき技能を学び、資格取得や仲間づくりも目的としている。だが受講者は10人にも満たないことがある。
首藤氏は、その理由を「工務店の経営者に余裕がないため」と明かす。研修は企業に負担がかかり、すぐ辞めてしまうかもしれない新人に経費を費やせないと考えている経営者が多いという。
「辞めさせないためのプログラムだから活用してほしい」と首藤氏は同研修会をアピールする。2021年度の研修会は4月開講を予定している。