北海道の家づくりデータベース
札幌エリア版(石狩・空知・後志)
2026年(令和8年)6月10日(水曜日)

武部建設(岩見沢市)、チャネルオリジナル(横浜市)、ウルトジャパン(同)、イケダコーポレーション(大阪市)の4社は3月25、26日、「ビルディングツアー&コンフォートデザインセミナー」を開催した。1日目は、築88年の木造校舎を改修したクラフトウイスキー蒸留所「当別蒸留所」(石狩郡当別町字弁華別243番地1)を通じて、持続可能な建築とコストの両立を検証。2日目は、今後の住宅仕様を考える技術セミナーを札幌市内で行った。
1日目は、午前に当別蒸留所の現地見学会を実施。施工を手掛けた同社の武部豊孝常務取締役と、設計を担当した向井正伸建築設計事務所の向井正伸氏が建物を案内した。
冒頭、蒸留所を運営するウイスキースチューデント(札幌市)の田中隆志社長が事業概要を紹介。歴史的建造物である旧弁華別小学校の活用が地域貢献につながればと話した。
続いて向井氏が、設計・施工について説明した。道内で3番目に古い2階建て木造校舎の再生にあたり「残すものは残し、新しいものは新しいものとして見せること」という方針を提示。ハーフティンバー様式という美しい意匠をできるだけ生かす設計とした。
図面は消失していたものの、改修履歴が残っていたため、それを元に既存調査を実施。古民家再生のノウハウを持つ武部建設や中田建築設計(岩見沢市)に助言を仰いだ。柱の補修は、現場で大工が状態を見ながら判断し、使える部分を残しつつ金物で補強・接合するという丁寧な手法をとった。
ほか腐食していた土台やバットレスを入れ替えて、耐力壁と蒸留機器を支えるRCスラブを新設。屋根はカバー工法で断熱補修し、構造安全性を確認できた木造トラスなどはそのまま生かした。
ファサードは向井氏が教鞭をとる星槎道都大の学生が、改修で生じた廃材を組み合わせて、歴史性を強調するデザインで製作した。
なお延床面積が1000㎡を超える既存不適格建物であったため、当別町と協議のうえ規模を整理し、建物の一部を用途変更対象から外すことで現実的な計画にまとめた。

木造トラスを生かした蒸留所室内

校舎の雰囲気を残した空間

廃材を組み合わせてデザイン

辻教授によるセミナーの模様
最後に創伸の北村代表が、ドイツ製のウッドファイバー専用吹き込みマシン「X―フロック」導入から5年間の実践を報告した。 古民家再生を手掛けた際に現場でウッドファイバーの可能性に気づいた北村氏は、国内先行事例がほぼない段階で同マシンを独自に導入。約30坪の物件で、屋根300㎜・壁120mmの仕様であれば、2人でも3日で施工が可能と紹介。5〜7年で減価償却する点や、リース活用もできることから、大きなコスト削減につながると説明した。 ほか、マシンの活用により、断熱施工への理解が深まった大工は、現場での提案力が向上。社員のスキルアップにもつながると指摘し、地方工務店の持続可能な事業基盤になることを示した。