北海道の家づくりデータベース
札幌エリア版(石狩・空知・後志)
2026年(令和8年)6月10日(水曜日)

キムラ(札幌市)は4月23日、「2026北海道ホームビルダーズショー」で住宅特別セミナーを開催。奥野工務店(札幌市)前代表取締役の奥野諭氏、瀧本ホーム(同)代表取締役の瀧本恵介氏、LIFEデザイン北海道(同)代表の伊藤羊一氏、武部建設(岩見沢市)代表取締役の武部豊樹氏の4人が、それぞれの実践と展望を語り合った。
奥野氏は2025年、奥野工務店の経営を社員に引き継ぎ「ホームリノベOkuno」を立ち上げた。これまで手掛けた注文住宅のオーナーの世代交代が、新たなビジネスに直結しているという。「年間10件前後、OBのお客様から売却や解体の相談がくる」と説明。無料点検のDMを発送したところ相応の引き合いがあり、1件当たり200~300万円規模のリノベーション契約につながっているとした。顧客基盤の厚みが第二創業を支えると強調した。
職人の需給ミスマッチに正面から向き合うのが瀧本氏だ。冬場に仕事が細り夏場に人手が不足するという建設業特有の繁閑格差を解消するため、道内の工務店団体アース21の加盟社数社と大工の「貸し借り」の仕組みを模索中と明かした。「クラウド型カレンダーなどのツールでリアルタイムに稼働状況を共有し、繁忙期の平準化につなげたい」と構想した。また、ゼネコンが敬遠するような工場・ビル・印刷工場の屋根補修など「誰もやらない仕事」をあえて受注することで大工の技術幅を広げ、対企業の人脈構築にも活用しているという独自戦略を披露した。
伊藤氏は、不動産業の立場から建設業界に切り込む。「住宅展示場で高額な注文住宅に魅力を感じながらも、しつこい営業に疲れて建売に流れる客が増えた」と現状を分析。その受け皿として、自社で土地を仕入れ、複数の工務店を提携先として集客から融資付けまでをワンストップで提供するモデルを試験運用中だと説明した。現在は2区画を取得し、モデル棟を建設中だ。問い合わせから商談につながった事例を紹介し、「価格さえ合えば注文住宅の需要はまだある」と述べた。
武部氏は、大手が手を出しにくい技術領域への集中を長期戦略に据える。UA値0.2前後の高断熱を維持しながら土壁を復活させる「土壁プロジェクト」を推進中で、「地元の土と薪ストーブを組み合わせた省エネ建築は、科学的にも有効で、ハウスメーカーには真似できない」と語る。空き家率が全道3位という三笠市を念頭に、古民家解体材の在庫バンクを整備し、セルフビルドによる空き家再生支援にも乗り出す考えを示した。今年の社長交代後は後継者育成と並行して、設計と施工の一体化に向けた体制強化を進めるという。
事例を通じて浮かび上がったのは、新築依存から脱し、各社がそれぞれの強みを軸に非住宅・リノベ・地域貢献へと多角化しているという共通点だ。武部氏は「ハウスメーカーとの差別化は、キャリアと地域密着から生まれる」と総括した。