北海道の家づくりデータベース
札幌エリア版(石狩・空知・後志)
2026年(令和8年)6月15日(月曜日)

やまもくが創業100周年を迎えた。木材の卸売業から始まり、地域ナンバーワンを目指す工務店へと三世代で紡いだ一世紀。三代目の山口雄大社長は、「北海道で一番やりがいがあり、幸せを創造できる企業へ」をビジョンに掲げ、次の50年に向けて歩みを進める。低迷する道内戸建注文住宅市場にあって、着実に成長し続ける同社の道のりを聞いた。
山口雄大社長は、創業者の山口美夫氏(祖父)、現会長の山口富雄氏(父)に次いで三代目になる。初代は徳島県から胆振管内壮瞥町に移住。行政の依頼で洞爺湖畔の木を伐採・販売したのが同社の始まりという。その後、オホーツク管内滝上町に移り住み、製材工場を開設。それが今から100年前の1924年のことだった。 44年には滝上町から木材を運搬して、札幌市内で木材の卸売業を営むようになる。そこから「道内初だった」という土地付分譲住宅を手掛けるなど、家づくりの道を開いた。 55年に前身となる山口木材を設立。76年に二代目が後を継ぎ、注文と分譲を合わせて年間150棟もの物件を手掛けるほどになった。リフォーム事業も強化するため、現LIXILリフォームショップにも加盟した。 06年には社名を「やまもく」へ変更。その翌年の07年、三代目の雄大氏が社長に就任した。

三代目社長として山口氏が最初に掲げたのは、「地域ナンバーワンになる」ことだった。会社のある西区八軒の世帯数に対し、「OB顧客率を30%にする」と具体的な数字を設定。当初約5%のスタートだったが、今では新築、リフォーム、営繕工事を合わせて約33%と目標をクリアしているそうだ。 地域でナンバーワンになるには、まず地域の人に知ってもらわなければならない。そこで「やまもく通信」を発行することにした。内容は、「やまもくが八軒でどういう役割を担っていきたいか」に注力した。社長やスタッフの人となりを前面に出し、併せて「道具箱訪問」と名付けて、工具で直せるものは無償で修理するとアピールした。狙いは当たり、反響があった。「信頼できると思ってもらうところに商機があると思った」と山口氏は振り返る。 地域の人と直接触れ合う「やまもく地域感謝祭(23年から「やまもくマルシェ」に改称)」を09年から開催しており、地域イベントとして定着させた。社員総出で隔週金曜日の朝に行う「町内清掃」も08年から継続している。未来を担う子どもたちのために、八軒の小学校への出前授業にも取り組んでいる。 こうした一連の社会貢献活動が評価され、20年に「札幌市民憲章実践者表彰」を受賞。同社は地域にしっかり根付くことで、地域を超えて知られる企業になった。
5年前に社名ロゴを作り変えるなど、リブランディングを行った。ショールーム「tanosie」をはじめ、ホームページや看板、社用車までデザインを一新した。山口氏は、「老舗企業だが、やっていることは最先端というイメージを作りたかった」と話す。リブランディングをきっかけに若い顧客が増えたという。すると相乗効果で若いスタッフも増えてきた。
同社は、月1回「ワイガヤ会議」といって、社員がやりたいことや課題を出し合う会議を行っている。社員のやってみたいというチャレンジ精神を大事にした結果、「一人ひとりがブレーンになって自ら動く雰囲気ができている」と山口氏。
また、働きやすい職場づくりに努め、水曜と日曜を完全定休日とし、年間休日数120日を採用。夜8時以降の残業を禁止し、変形労働時間制も廃止した。
「人が大事」と言い切る山口氏が次の50年に向けたビジョンは、「北海道で一番やりがいがあり、幸せを創造できる企業へ」だ。家づくりを通じて、顧客、社員、パートナー業者などみんなが幸せになる道を切り開いていく。
ショールーム 「tanosie」
山口氏は、会社を継いだ時に「一年に一つ、必ず新しいことをしようと決めた」と語る。企業は強いものが生き残るのではなく、環境に適応したものが残るという考えから、「現状維持は衰退」と捉えている。 今年、新しく始めたのは、「アンバサダー制度」。同社で家を建てた施主をアンバサダーとし、自宅を公開してもらう。家を建てたい人が見に来たら謝礼を支払うシステムだ。ヒントは「推し活」にあった。施主に同社のファンとして「推し活」してもらうというのが時代の流れに合っている。 「他社と同じことをしていても推してもらえないから、もっと尖った工務店にならないと」と山口氏は笑い、地域ナンバーワンの先にオンリーワンの工務店の在り方を見据えている。
10月25日に、創業100周年を記念して「感謝の夕べ」を京王プラザホテル札幌(札幌市中央区北5条西7丁目)で開催した。
協力業者や他社工務店など、これまで同社と縁を結んだ人を道内にとどまらず全国から招待。200人以上がお祝いのため出席し、フルコース料理や晴れやかな催しを楽しんだ。
山口氏は開会のあいさつで、「皆様とのご縁を非常に大切にしながら、またこの100年を原点回帰として、この先30年、50年と皆様に愛される会社でいられるよう頑張ってまいりたいと思います」と感謝を伝えた。
全国から約200人が出席