北海道の家づくりデータベース
札幌エリア版(石狩・空知・後志)
2026年(令和8年)5月24日(日曜日)

山下ホーム(札幌市)は、設計、施工、販売まで一貫して自社で行う建売住宅ブランド「グレイスホーム」を展開している。
2012年に始まった国の再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)に合わせてZEHに取り組み、2020年以降の新築物件はすべてZEH化を達成。年間施工実績60棟規模のビルダーとしては札幌市内で唯一、自社建売物件の全戸ZEHを実現しているという。併せて低炭素建築物とBELSの認定も取得している。
グレイスホームは、壁が高性能グラスウール16㎏の105㎜と押出法ポリスチレンフォーム30㎜のダブル断熱、天井は吹き込み用グラスウール18㎏で300㎜、基礎は外気側に押出法ポリスチレンフォーム保温板3種で100㎜。換気は第1種を標準としており、断熱等性能等級5のレベルを確保している。同社の山下哲史社長は、「国が方針として示した基準はクリアすべき」と語る。
新設の断熱等級については、「上位等級だからどうする、ということはない」としながらも、断熱材や透湿防水シートの見直しを行っているという。さらに、今後2年間をめどに年間の販売戸数を100戸に引き上げる目標を掲げ、設計や現場監督の社員を増員する予定だ。
国のカーボンニュートラル施策により、住宅の高性能化が一般ユーザーにも広まりつつあるとみられるが、戸建住宅市場では「ZEHなどの知名度はまだまだ低く、やはり場所や広さ、価格でユーザーは選んでいる」と山下社長は指摘する。
それでも同社が全戸ZEHを実施し、住性能の向上を目指すのは「良いものを作りたいから」。社員も職人も同じ思いを共有しており「一貫体制だからできること」と話す。
資材の高騰による販売価格の上昇など住宅を取り巻く課題は多いが、「上がったコストをただ上乗せしてもユーザーの納得は得られない」と話し、「同じ商品ではなく、設備をグレードアップするなど付加価値を追加することが大切」と提起する。
全棟にZEH基準の性能、品質を徹底する同社の方針は、建売住宅市場を主戦場とする事業者としては異彩だが、国が主導する時代の変化にいち早く対応することが、結果として他社との差別化につながる。