北海道の家づくりデータベース
札幌エリア版(石狩・空知・後志)
2026年(令和8年)5月24日(日曜日)

P.V.ソーラーハウス協会(茨城県龍ケ崎市、南野一也会長)は2月20、21日に第20回総会を札幌市内で開催した。
1日目は住宅評論家の南雄三氏が「ZEHの『先』家づくりの『先』」と題して講演した。
本州の住宅は諸外国に比べエネルギー消費量が少なく、特に暖房のエネルギー消費量が少ないのは「寒さを我慢して生活しているため」と指摘した。そのため断熱改修による省エネは難しく設備更新が必要になる。しかし、道内の住宅は「暖房に大きなエネルギーを使用しているため断熱改修がそのまま省エネにつながる」と解説した。
ZEHがある程度普及した先には、住宅建設時のCO2排出量も含めた生涯のCO2の収支をマイナスにする「LCCM(ライフサークルカーボンマイナス)住宅」やオフグリッドによるエネルギーの自立が主流になると主張した。
山本亜耕建築設計事務所の山本亜耕代表は道外の会員向けに「北海道の高断熱住宅」と題し講演した。山本氏は断熱について、「冬の寒さ対策だけでなく夏の暑さにも効果がある」と指摘し、「原理の段階まで突き詰めれば断熱はローテク技術で成り立っている」と解説した。高断熱・高気密の次に目指すものとして、「街並みに調和した住宅デザインが求められる」と指摘した。
2日目は、南野会長が「『住宅の省CO2化と健康で快適な住環境』・『今後の住宅』と『今後のビルダー』の方向性」と題して講演した。
2月9日に公表された経済産業、環境両省担当分の2018年度ZEH支援事業に触れ、「将来の住宅と思っていたZEHに標準化の時代が到来する。省・創エネのCO2対策は急務。20年に向け、今から取り組みを始めても遅くはない」と強調。「国は政策の骨子を国民にPRし、理解を深めるべき」と指摘した。

ディスカッションも行われた
イゼッチハウス北海道の瀧本惠介取締役、キクザワの菊澤里志社長、棟晶の齊藤克也常務、藤城建設の川内玄太氏の4人をパネリストにディスカッションを行った。
南野会長が「戸建住宅の販売価格」「断熱へのこだわり」「暖房仕様」「1棟あたりの断熱材価格」「太陽光発電システムの施工費」「ZEHビルダー格付け制度の『5つ星』達成時期」などについて質問。パネリストがそれぞれ自社の取り組み状況を交えながら回答した。
このうち暖房仕様についてはオール電化、灯油、都市ガスなど意見が分かれ、南野会長は「断熱がある程度進むと暖房光熱費に対する差別化が次へのステージになる」と解説。太陽光発電の施工費について、自社で雇用する大工3〜4人の1日施工でコスト抑制に取り組む事例などが示された。
ディスカッションを踏まえ、南野会長は「国はZEH補助金を2〜3年で終了させるだろうが、ビルダーの格付けは永遠に続ける考え」と紹介。
さらにZEH率を向上させるため、「まずは太陽光発電システムを搭載すればZEHとなる準備段階の『レディーZEH』の標準化に取り組むべき。全棟の屋根に下地補強板等を備えるところから始めてほしい」と呼びかけた。
モジュールとパワコンなど材料費や設備工事費込みの100万円で8kWの太陽光発電を搭載し、年間発電収入が22〜23万円あれば投資額は5年以内で回収可能とする試算を紹介。「太陽光発電の販売価格を低額で提供する自社体制が重要。顧客に投資効果の高い住宅を販売してほしい」と営業手法も提案した。
1月現在のZEH登録ビルダーは全国の工務店約4万社のうち6359社。南野会長は「ZEH普及を本格的に取り組むことが将来の生き残りに直結する」と指摘。「ZEH率向上で工務店の経営安定が図られる」と語った。
ビルダー実績報告書による目標未達理由の分析から①社内体制整備②資金計画③プレゼンテーション能力―の改善により、「早期のZEH率向上につながる。当協会は1年コースの集中コンサルティングを検討しており全面的に協力したい」と話した。