北海道の家づくりデータベース
札幌エリア版(石狩・空知・後志)
2026年(令和8年)5月24日(日曜日)

藤城建設(札幌市、藤城英明社長)は2019年12月20日、大型パネル工法によるモデルハウスの建て方工事の見学会を開催し、住宅業界関係者など約40人が参加した。業界は職人不足を背景に、現場の省力化が喫緊の課題だが、ビルダーや工務店の中には、パネル化によるコストアップを吸収する方法を模索する動きが高まっている。当日は雪が降り続く中、6人の大工職人が、朝8時ころからクレーンで吊り上げた14枚のパネルを1階と2階に建て込み、夕方5時までに屋根工事を完了した。施工精度の均一化による現場の省力化によって、大工賃金のアップと若手大工の育成を見据える同社の試みを取材した。
モデルハウスの名称は「North Land Pride(ノースランド・プライド)」。藤城建設は今後、パネル工法による戸建住宅のブランドとして展開していく。
パネルは在来工法用で、同社と佐藤木材工業(北斗市)、高橋産業(札幌市)の3社が共同で開発し、高橋産業の島松パネル工場(北広島市)で製造した。藤城社長は「2×4パネル工場で在来パネルを製造するのは道内で初めてではないか」と話した。
モデルハウスは総二階で床面積は119.24㎡。1階と2階に使用したパネルの数は、高さ2805㎜×幅3640㎜のパネルが14枚と高さ2805㎜×幅4550㎜が2枚。パネルの製造段階でネオマフォーム(60㎜)を外張りし、高性能トリプルガラス樹脂サッシを組み込んだ。
グラスウール(16k、105㎜)については、現場でビス止めや電気工事の際に剥がさなければならないため、高い気密性を保つ目的もあって、パネルに組み込まずに現場で大工が充填した。
当日は朝8時20分に建て方工事をスタート。クレーンを使ってパネルを吊り上げ、6人の大工職人が、前日までに完成させた土台と床に設置した。10時37分に1階、11時47分に2階のパネル工事をそれぞれ完了し、屋根工事が終わったのは16時45分だった。
藤城建設の担当者は「日没前に玄関ドアを設置し、大工道具を中に入れて鍵をかけるのが目標。今後さらに細かい点を省力化すれば、冬場でも明るいうちに撤収できる」という。
クレーンを使えることから、屋根部材は2×4パネルを採用した。破風と淀だけは大工が施工したが、「破風と淀もパネルに設置できることが分かったので、今後はさらに施工時間を短縮できる」(前述の担当者)と期待している。
一方、今後の課題として、アンカーボルトとホールダウン金物を差し込む穴を見やすくすることや、クレーンで吊り上げる前にパネルが斜めになっていないことを玉掛けの段階で現場管理者が確認するなどの改善点が明らかになった。
3社が大型パネルを開発した目的は、道内企業だけで製造・施工し、建築コストを下げることにある。担当者は、通常の施工方法と比べたコストアップを約100万円と試算している。今回の施工で判明した問題点を詳細に検討することによって、「70~80万円アップにまで抑えられる」(同)との見通し。
藤城建設は今後、施工範囲を空知管内南幌町や岩見沢市、恵庭市などにまで拡大し、パネル工法による施工棟数を増やす意向。札幌近郊はクレーン車を使うための道路幅が広い地域が多く、現場に通う高速料金などもパネル工法による省力化で低減できるとしている。
藤城社長は「大工の技能レベルに関係なく施工精度を保つことができれば、大工の収入増にもつながり、若手の入職も増えるのではないか」と、職人不足解消に向け、他のビルダーや工務店にもノウハウを提供する意向を示した。