北海道の家づくりデータベース
札幌エリア版(石狩・空知・後志)
2026年(令和8年)5月24日(日曜日)

カーボンニュートラルの実現には再生可能エネルギーの普及が不可欠だが、本道では積雪や暖房負荷の大きさなど課題も多い。道内の先行ビルダーの取組みからZEH化推進の鍵を探る。
2016年度から(一社)環境共創イニシアチブ(SII)のZEHビルダーに登録し、5年間のZEH施工実績は約30棟。20年度は15棟(うちニアリーZEHが9棟)で、藤城建設ブランド(ローコストブランドの「ゆきだるまのお家」などは含まない)のZEH化率は60%だった。
同社はZEH普及に取り組むPVソーラーハウス協会の会員として、太陽光発電設備の仕入れ効率化などのプロジェクトに関わってきた。現在も同協会を通じて太陽光発電モジュールやパワーコンディショナーなどの機器を調達している。

川内玄太リーダー
プロジェクトに参加し、同社の住宅の太陽光発電導入を推進する川内玄太リーダーは「なぜZEHがいいのか、自分ひとりがわかっていてもダメで、社内全体がポジティブな意識を共有しないと話が進まない」と感じている。
そのため、10月には全社員を対象に研修も開いた。ユーザーにZEHを普及する前に「まず社内への普及が必要」と話す。
太陽光発電設備の設置はオプションとして必ず提案しているが、ユーザーに選択を委ねるとなかなか普及にはつながらない。川内氏は「ごく一般的な収入のユーザーが太陽光発電のために支出できる金額は100万円が限度。それ以上はハードルが高い」と考える。
発電容量1kWあたり20万円程度で仕入れ、5kWで100万円。ZEHの基準を満たすのは難しいが、5kWのパネルを有効に活用して光熱費負担がなるべく少ない家にする。
同社が勧めるのは壁面パネルの活用。すべて屋根に載せた場合と比べると年間の合計発電量は及ばないが、最もエネルギー消費が多い冬でも発電できることに加え、冬の災害時の停電に備える意味でもメリットがある。
また、同社のモデルハウスで行った実証実験では、雪の反射で壁面の発電量が増えるというデータも確認しており、川内氏は「太陽光発電に関して北海道はデメリットばかりと思われていたが、壁面発電なら積雪がメリットになる」と強調する。
札幌市北区で今年施工した物件は、南東の角地という好立地を生かし、南面の壁に約3kW、屋根に約2kWのパネルを設置。延べ床面積約100㎡で建物本体価格は税込み2000万円以内に収まった。外皮性能はUA値0.25W/㎡K。ZEHではないが普及価格帯で実現可能な省エネ住宅の一例だ。