北海道の家づくりデータベース
札幌エリア版(石狩・空知・後志)
2026年(令和8年)5月24日(日曜日)

藤城建設(札幌市)は2月25、26の両日、札幌市北区篠路町上篠路に完成した壁面太陽光発電パネル設置のNearlyZEH住宅を一般公開した。土地、建物、工事費、諸経費込みの総額で2740万円。建築コストの高騰が続く中、高所得層以外でも手が届く現実的な価格で高性能住宅を提供し、20%以上の粗利益率を確保している。
コンセプトは「家族3人とペットが暮らすコンパクトZEH」。延床面積を28坪とコンパクトに収め、外皮性能は断熱等性能等級6相当のUA値0.28(W/㎡K)。一次エネルギー消費量削減率は再エネを含めずに48%、再エネ込みで76%となり、NearlyZEHの要件を満たす。
太陽光発電パネルは屋根に405Wを6枚(2.43kW)、南面と東面の壁に390Wを合計9枚(3.51kW)設置。取材時はこの時期としては気温が高く、屋根面の雪も解け始めていたが、HEMSの表示では壁面パネルで2.1kWほどの発電量を示していた。
積雪期でも発電し、自家消費で冬期の光熱費負担を減らせるうえに、年間では10万円以上の売電収入が期待できるという。
価格の内訳は、土地代が350万円、建物・工事費に2320万円、諸経費が70万円の総額2740万円。こどもみらい住宅支援事業のZEH補助金100万円を受け、施主の実質負担は2640万円となる。
設計を担当した川内玄太常務取締役は「自社の不動産部門で土地探しを行い、地盤や傾斜、インフラ整備費用まで考慮して提案できるため、コストを抑えられる」と説明。近隣と比べ杭工事費用が安く済むなど、好条件も重なったという。
自身で営業から設計まで担当し、予算とバランスを取りながらできるだけコストアップせずに施主の要望を叶える工夫を盛り込んだ。
例えばペットのために土間空間を広く取り、2階には専用のワークスペースも確保。収納や造作洗面、玄関部分の外装は道南杉の板張りとするなど、「ほぼすべての夢を詰め込むことができた」という。
川内氏は「建築費の高騰で一般的な収入の世帯が住宅取得を諦めざるを得ない状況をそのままにはしたくない」と強調。「土地代が400~500万円、建物が2200~2300万円で、太陽光発電も載せて総額3000万円以内で良質な住宅が提供できれば、年収400万円ぐらいの世帯でも手が届く」と話し、今回公開した住宅を一つの成功モデルと考える。
もちろん、大手パワービルダーのように利益を削ってローコスト住宅を大量供給するのは限界がある。収益ラインとして「20%以上の粗利益率が確保できていれば十分に事業として継続性がある」と見込み、「現実的な価格で一般的な所得の世帯にとって手の届くZEH」の路線を積極的に展開していきたい考えだ。