北海道の家づくりデータベース
札幌エリア版(石狩・空知・後志)
2026年(令和8年)5月24日(日曜日)

道南で高性能省エネ住宅に取り組む山野内建設(渡島管内八雲町、山野内辰男社長)は、30年間にわたり電化住宅だけを作り続けてきた。その理由は、火を使わない安全性、掃除がしやすいIHクッキングヒーターの利便性もさることながら、少ないエネルギーで経済的に快適な暮らしが実現できるという点が最も大きい。
「電気料金が高いという声をよく聞くが、それは躯体の性能が低いから。断熱、気密がしっかりとした住宅ならば、年間の光熱費は20万円以下で済む」と山野内社長は言い切る。
同社の住宅はUA値0.25~0.28W/㎡Kの高断熱仕様で、年間の光熱費は18万円程度。寒冷地の省エネ基準0.46W/㎡Kを満たした一般的な断熱性能の住宅と比較し、光熱費を半分以下に抑えられるという。
暖冷房は6畳用のエアコン1台で全室を快適な温度に維持する。それが可能な断熱仕様を熱計算で逆算するため、各部に使う断熱材の厚さは条件によって異なるが、暖房設備が簡易な分、躯体性能にコストを重点配分する。窓はトリプルガラス樹脂サッシを標準とし、第一種熱交換換気システムを採用。給湯はエコキュートで、HEMSと太陽光発電システムを導入している。
同社の住宅は全棟がZEH仕様。容量9.9kWの太陽光発電システムを搭載した住宅では電気料金を年間20万円以下に抑え、太陽光発電の売電収入が年間17万8000円、自宅で使う電力(自家消費分)は4万9000円分あるため、電気料金の負担は実質ゼロとなる。「使うエネルギーをすべて計算し、それを上回る量を発電するとゼロ円・ゼロエネルギー住宅になる」と、山野内氏の考えは明快だ。
高性能住宅は建築時のイニシャルコストが高くなるが、同社は顧客に対し、35年間住んだ場合の住宅ローンの支払いに税金、保険料、光熱費、修繕費、設備更新費などを加えて算出したトータルコストを説明する。
同社の高性能住宅は30坪で3000万円を超えることもあり、同じ規模でUA値0.46W/㎡Kの一般的な断熱性能の住宅と比較すると500万円以上高く、住宅ローンの支払いは年間10万円以上多くなる。
しかし光熱費は年間20万円以上少なく、売電収入を加えると35年間のトータルコストは約700万円安くなる計算。家賃6万5000円のアパートに35年間住み続けた場合と比較しても大きな違いはない。
同社はZEHよりさらに省エネ性能が高く、20kWの発電容量があるLCCM住宅にも取り組んでいる。山野内氏は「知恵を絞れば電化住宅の快適性と経済性は両立できる。社会は脱炭素に向けて動いており、住宅もその方向に向かっていくべきだ」と語り、高性能電化住宅のメリットと意義を強調する。