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大開口の木造3階建を現場公開

大開口の木造3階建を現場公開

新・J-耐震開口フレームを初採用

竹内建設とJ建築システム(ともに札幌市)は8月19日、札幌市中央区南8条西9丁目に建設している木造3階建の語学学校「明治アカデミー」の施工現場を公開した。道建設部と水産林務部の職員のほか、北海学園大の植松武是教授と学生たちも見学に訪れた。

木造軸組と壁パネルを組み合わせた竹内建設独自の合理化工法「システムTK―Ⅳ」で施工。J建築システムが開発した新・J―耐震開口フレームを使うことで建物正面の外壁をすべて開口部とし、内部空間に耐力壁を配置しない構造設計を可能とした。

 

北側正面がすべて開口の木造3階建

 

9.1mの大開口に新・J-耐震開口フレーム、内側に従来型の開口フレームを並列に配置

 

設計監理はアーキテクチャーラボKONオフィス(東京都)の今知亮代表、構造設計はJ建築システムの門馬寛之次長とJ建築研究所(東京都)の手塚慎一所長が担当。6月に着工し、現場公開時は建て方が始まってから1週間。すでに3階までの主要な構造が組み上がっていた。

建設地は北側が道路に面し、それ以外の三方はいずれも同程度の高さの建物に隣接している。設計監理の今氏は「木造3階建、明るい空間という施主の要望を叶えるためには、唯一採光できる北面に可能な限り大開口を設けつつ、耐震性を確保する構造計画が必要だった」と説明した。

それを可能にしたのが新・J―耐震開口フレーム。大断面集成材をアラミド繊維シートで接合した耐震アイテムで、軸組工法の柱や横架材の内側に設置することで開口部に耐力壁と同等の強度を持たせることができる。カーボンニュートラルに向けた中高層建築物の木造化に対応するため、従来型のフレームをさらに高耐力化し、構造評定を取得している。

今回公開された建物は1~3階のいずれも北面に9.1mスパンの大開口を設け、各階1本ずつの新・J―耐震開口フレームで耐力を確保。さらに外壁の内側に並行して3.64mスパンの従来型のJ―耐震開口フレームを各階2本ずつ配置した。これにより、フロアに耐力壁が一切なく、間仕切り壁を自由にレイアウトできる可変的な内部空間を成立させた。

J建築システムの山下純専務取締役によると「RC造ならば同様に大開口の設計は可能だが、木造と比べて重量が増すため基礎工事のコストが大きくなる。木造の方が1~2割は建築コストを抑えることができる」という。
同社の門馬次長は「木造建築の構造計画ではバランスの良い耐力壁配置が必須条件で、新・J―耐震開口フレームが無ければ意匠と構造を両立できなかった」と話す。

また、竹内建設の竹内弘樹部長は、同社の直営工場「エーステック」(江別市元野幌)で軸組パネルを加工し、現場で組み上げる合理化工法により、「工期もRC造の2分の1程度に短縮できる」と説明。11月中に竣工し、来年6月には語学学校を開校できる見込みだ。

J建築システムの手塚純一社長は「RCのラーメン構法か特殊工法でしか成立しなかった空間を一般の工務店が慣れ親しんだ木造軸組工法と耐震開口フレームで成立させたのは画期的。この技術を広く普及していきたい」と、今回公開した建物が持つ特別な技術的意義を強調した。

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