北海道の家づくりデータベース
札幌エリア版(石狩・空知・後志)
2026年(令和8年)5月24日(日曜日)
住宅設備工事の正和住設(石狩市)を代表者とする共同事業体は9月30日、「太陽熱システム組み合わせによる地中熱ヒートポンプの新しい採熱工法の検証事業」で、道の環境・エネルギー産業総合支援事業(開発支援事業)の助成認可を受けた。札幌市北区に建設中の同社のメンテナンス部門の子会社、ツーユーコーポレーション(札幌市)の新社屋に独自設計の太陽熱暖房給湯システムを施工し、実証データの収集を行う。

共同事業体に参画したのは正和住設のほか、システムに使用する太陽熱コレクターをスウェーデンから輸入している住宅設備機器販売の森永エンジニアリング(東京都)と、新社屋の施工を担う竹内建設(札幌市)。取り組んだのは、太陽熱を「過不足なく使い切る」ためのシステム作りだ。
太陽熱コレクターは2階上部に軒のように設置。1枚あたり集熱量1137Wサイズを4枚設置する。ここで集めた太陽熱はまず建物内の蓄熱タンクへ送られ、給湯に使用される。蓄熱タンクが給湯に十分な設定温度まで温まると、余剰熱は床下の「蓄熱層」へと送られる。床下には土間コンクリートで断熱材を挟み込んだサンドイッチ構造が埋設されており、断熱材によってそれぞれ独立した土間コンクリート層が、上部は「暖房層」下部は「蓄熱層」として働く。ここに蓄熱タンクの余剰熱を逃がし、過熱を防止しながら熱を貯蔵。主に、集熱量が多く、暖房を使用しない夏場などに行われる。
冬場は、コレクターからの熱はまず「暖房層」を温める。この土間蓄熱暖房と第一種熱交換換気による全館空調で年間を通して建物内の温度環境を管理する。
土間蓄熱暖房はこの蓄熱のみで、たとえ厳冬期に災害などで電気が止まっても、3日以内であれば室内を10℃以上に維持できるという。
暖房層が設定温度に達すると、熱は蓄熱タンクへ送られ給湯に使用される。しかし日照が弱く、暖房の設定よりも暖房層が温まらない場合、地中熱ヒートポンプで床下の蓄熱層から採熱するバックアップ暖房機が作動する。
地中熱ヒートポンプの採熱には通常、広い地面が必要になるが、蓄熱層からの採熱は、太陽熱によって熱回復させるため基礎部分の広さのみで連続的に採熱が可能になると期待される。実証されれば、その他の採熱方式に比べ施工面でも費用面でも実用性が高まる。暖房層と、蓄熱層を使用した地中熱ヒートポンプによるバックアップ暖房で、日照に左右されない暖房を実現したい考えだ。
給湯、暖房、蓄熱の切り替えは建物内のコントロールボックスですべて自動制御される。またタブレット画面による操作で、ユーザーが給湯モードと暖房モードを簡単に切り替えることもできる。
太陽熱は創エネ活用の可能性を広げる有望な選択肢の一つだが、課題も多い。日照過多の夏場はオーバーヒートを防ぐために余剰熱を排出するが、今回実証するシステムは、これをただ捨てるのではなく蓄熱層に貯蓄し、日照不足の時や暖房負荷の大きい冬場などに利用する試み。
実証データは助成事業の終了後も継続して蓄積し、通年での取得熱量の収支などを分析したいという。季節による環境の変化が大きい北海道でどのような結果が得られるのか、継続的にデータ収集を行っていく。