北海道の家づくりデータベース
札幌エリア版(石狩・空知・後志)
2026年(令和8年)5月24日(日曜日)
竹内建設(札幌市)はこのほど、リノベーションで初めて全館空調システム「BAQOOL(バクール)」を採用した住宅を北広島市大曲に完成させた。
バクールはカイトー商会(釧路市)の特許取得の換気システムで、機械設備を用いずパッシブ換気による空気の対流を利用する。自然給気で床下に取り込んだ外気を必要最低限の熱源で暖め、自然対流で家中を循環させる。

リノベーション前の同物件は築38年、延床面積247.616㎡の木造軸組工法2階建。施主は70代の母親と二人の娘の3人世帯で犬と猫を飼っている。 家族のライフスタイルが変わりリフォームを検討していたところ、竹内建設が住んでいた住宅の使わなくなった2階部分を減築して平屋にすることを提案した。 また、施主は全館空調を希望していたが、同社はリノベーションでのバクール導入実績がないことからカイトー商会に相談。作成した図面をもとに2社で協議を重ね、「これならいける」と確信を得て提案したところ、ぜひ取り入れたいと採用になった。 そうして完成したのは、延床面積129.18㎡の木造平屋建で、UA値0.24、C値0.3を実現した高断熱高気密のスマート電化住宅。外壁に高性能吹き込み用グラスウールを密度26.5Kで105㎜充填、フェノールフォーム45㎜厚を付加。天井に吹き込み用グラスウールを密度13.5Kで400㎜、基礎断熱は内側に押出法ポリスチレンフォーム100㎜、土間下にも50㎜を施工。全窓トリプルガラス樹脂サッシを採用した。 建物にかかった解体・施工費用は約3600万円。経済産業省が所管する今年度の「次世代省エネ建材の実証支援事業」外張り断熱区分で400万円の補助金の採択を受けた。
リビングに冷房用のルームエアコンを1台設置。また、40坪近くある平屋全体を均一に暖めるため、2台の暖房用エアコンを玄関から入ってすぐの納戸とそのほぼ対角にあるユーティリティの床に設置。床下に吹き出す温風が床下空間を暖めるため、床暖房なしでも足元が暖かい。 既存住宅は基礎の立ち上がりが多く、床下空間が細かく区切られている場合が多いが、バクールは暖かい空気を行き渡らせるため、床下空間を広く開放的に作る必要がある。カイトー商会札幌支店長の米本晋太朗氏は「竹内建設さんは新築でバクール導入の経験を積んでいるし、施工技術には全幅の信頼を置いている。その上、基礎区画の変更や整理、基礎空間の断熱計画についてなど、システムに必要な要望に最大限応えてくれた」と振り返る。 竹内建設のリノベーションマネージャー菅野由香理氏は「確かに基礎の施工は大変だった」と笑いつつ、「お施主様に一番喜ばれたのは、ユーティリティのエアコンに近いお風呂の床が暖かいこと。完成見学会に来場されたお客様も皆さん感動されていた」と話し、リノベーションでのバクール採用に手応えを感じていた。 バクールは熱源を選ばないが、床下用エアコンが2台になってもパネルヒーターより年間の光熱費は安くすむと米本氏は説明。北海道電力が提供する「エネとくスマートプランニングコスト試算表」によると、同物件の年間光熱費は30万895円と試算する。バクールを導入しない場合に比べて年間で11万4961円、月間では9580円安くなるという。 また、バクールは使用する設備機器が少なく、将来的にかかるコストやメンテナンスの手間が少ないのも特長で、菅野氏は「お施主様の決め手になったのもメンテナンス性の良さが大きい」と話す。「リフォームやリノベーションで全館空調を求める方はまだ少なく、そもそもできないと思っている方も多いので、今後は積極的に提案していく」と意欲を見せた。 米本氏は「本物件では、高齢のご家族やペットのことを考え、とくに温熱環境に配慮した住宅を建ててくれた。そのおかげでお施主様が快適に暮らせるだけでなく、両社にとって有意義な知見を得ることができたので、今後リノベーション分野でも一層協力できると思う」と自信をのぞかせた。