北海道の家づくりデータベース
札幌エリア版(石狩・空知・後志)
2026年(令和8年)4月7日(火曜日)

空知管内の南幌町は2月1日現在、総人口7951人、3773世帯が暮らす。総務省が公表している住民基本台帳に基づく人口動態調査によると、2023年の南幌町は日本人住民の人口増加率2.97%増、社会増加率3.97%増で、いずれも国内町村部の1位となった。
要因の一つとして、町の移住定住施策が挙げられる。移住検討世帯に対し、23年2月に新築した木造平屋建の移住体験住宅を提供。利用期間中は無料の移住相談を受けられる他、農作物の収穫体験など多様な移住体験プログラムの利用を条件とする。また、16年から子育て世代住宅建築費助成事業を実施。中学生以下の子どもがいる世帯、または夫婦共に40歳未満の世帯が新築する場合、最大で200万円の助成金を交付する。さらに、みどり野団地の道住宅供給公社分譲地を購入した場合は、宅地価格が半額となる。
同町によると、22、23年度に同助成金を利用して移住した世帯はいずれも90世帯で、21年度の22世帯から大幅に増加。助成金対象外も含めると移住者はさらに多い。「札幌の土地価格上昇と、南幌町の移住支援施策の効果が影響しているのでは」と同町まちづくり課の担当者は推測する。
町は、子育て支援や定住促進にも力を入れている。中学生以下の子どもがいる世帯に地産米の「ゆめぴりか」を子ども一人当たり10㎏支給。地域活性化のために開催するイベントなどを支援する「まちづくり活動支援事業補助金」は、一般の町民で構成された団体でも活用できる。
若い世帯が増え、札幌などから飲食店やスーパーも進出しており、町は賑わいを見せている。

町民に親しまれている「南幌ガレージ」店内
Webデザインや店舗の内装・看板デザインなどを手掛ける早勢制作所(南幌町)代表を務める傍ら、ラジコンショップ兼駄菓子屋「南幌ガレージ」や飲食店を経営する早勢倫明さん。
2021年、早勢氏は妻と当時未就学だった二人の息子を連れて札幌市内から同町の「みどり野きた住まいるヴィレッジ」に移住した。きっかけはマイホームづくり。数社の住宅会社に相談するうち、移住支援の助成金活用などを提案された。他の町も検討したが、南幌を選んだ決め手は広い土地。「車やバイク、モノ作りが好きで大きなガレージが欲しかった。このエリアは土地の2区画購入が基本のため、冬の雪捨てにも困らない」と話す。仕事で札幌にアクセスしやすいのも利点だった。
子育て世代住宅建築費助成事業を活用した自邸は、山下竜二建築設計事務所(渡島管内森町)が設計、奥野工務店(札幌市)とリノア(同)が施工した。住宅とガレージが中庭を挟んで向かい合い、ルーバーでつながる。自宅のガレージが南幌ガレージの起点だった。
モノ作りの楽しさを多くの人に知ってほしいとの想いから、移住翌年にはまちづくり活動支援事業を活用して「なんぽろラジフェス」を主催。ラジコンキットの販売や組み立て体験、サーキット走行を親子で楽しんでもらうイベントだ。第3回の開催となった昨年は、約30のキッチンカーや店舗が出店、バンド演奏や花火がイベントを盛り上げ、2日間で町内外から延べ2000人の来場者が詰め掛けた。
役場と町民の距離が近いのも大都市にはない魅力だ。役場の職員が名前を覚えてくれていて、何か相談するとすぐに必要な支援につないでもらえるのは移住者にとって心強い。
早勢氏は若手農家や町づくり関係者で組織するグループ「農猿」にも名を連ね、南幌の農業や町の魅力を発信する。「大人が町おこしを楽しんでいると、子どもたちも楽しそう。そうして将来、南幌に定住して町おこしを継承していってくれるのが理想」と早勢氏は語った。