(一社)北海道ビルダーズ協会の大工育成委員会は9月18日、大工の棟梁を対象にした「大工さん育成ガイドブック(指導棟梁編)研修会」を札幌市内で開催した。
同委員会の委員長、首藤一弘氏(丸三ホクシン建設社長、石狩市)が講師を務め、「指導棟梁に必要な準備と心構え」をテーマにガイドブックの解説を行った。
はじめに大工技能者の状況について説明。「若者は世代ギャップを意識しないと辞めてしまう」と話し、指導する若い大工に対して、自分が育ってきた環境を押し付けることがないように注意を喚起した。
指導方法については、「ティーチングではなくコーチングを」と勧め、従来の一方的に教え込むティーチングではなく相手に考えさせるコーチングの有益性を示した。
また、後輩を育てるための具体的な手法として、「監督者訓練技法(TWI)」を紹介。アメリカの技術者が開発し、日本の高度経済成長期にさまざまな企業で取り入れられてきた企業内教育の一つである。
首藤氏は、「電気コード結び」という結び目を作る作業を取り上げ、実演しながら解説した。参加者に電気コードを配り、首藤氏の指示の下で作業させる。1回目は、一連の作業を参加者に対面で見せてから同じようにすることを促したが、できた人はいなかった。2回目は、作業を口で説明しながら行ったが、参加者はやはりできなかった。3回目になると、「正しい教え方をする」と述べ、参加者と同じ方向を向き、一連の作業を一つ一つ説明しながらやってみせたところ全員が正しい結び目を作れた。
これがTWIにある「作業分解」という手法で、あらかじめ作業分解シートを作成し、そのステップに沿って教えると短時間で覚えさせることができるという。首藤氏は、「作業分解はいろいろな場面で使える」とし、例えば上棟式のあいさつでも、何を話すのか内容を分解してその順番通りに話せば上手くいくと自分のエピソードを交えて話した。
参加者からは、「自分は棟梁の背中を見て覚えたが、若い子への教え方の勉強になった」「相手のレベルに合わせ、作業を分解して教えることの大切さが分かった」などの声が上がった。
同協会が作成した「大工さん育成ガイドブック」は、新人大工の確保・育成により、良質な住宅建設を継続させ地域社会に貢献していくことを目的とする。これまで「経営編」と「新人大工編」が作成され、今回の「指導棟梁編」を合わせた3部作で完結となる。今後も、三つの研修会をそれぞれ実施する予定。



