北海道の家づくりデータベース
函館エリア版(渡島・檜山)
2026年(令和8年)4月7日(火曜日)

(一社)全国工務店協会(JBN)は2月26日、(一社)北海道ビルダーズ協会(武部豊樹代表理事)と共催で「指導棟梁研修会」を札幌市内で開催した。武部代表(武部建設社長)がJBN大工育成プロジェクトリーダーの立場で研修会の開催趣旨を説明。「徒弟制度の良い部分を現代風にアレンジして育成システムを完成させたい」と話した。このほか北海道医学検査学会の磯辺正道会長が「人材育成のためのコミュニケーション学(新人大工育成への応用)」、丸三ホクシン建設(石狩市)の首藤一弘社長が「仕事の教え方〜教え方の4段階と作業分担の実績」と題してそれぞれ講演した。
大工職人は現在、ピーク時の1980年代に比べ約60%まで減少している。中でも10代の大工職人は全国で約2000人しかいない。こうした現状について、武部代表理事が「若手の入職が少ないのが一番の問題。大工職人の人口構造は逆ピラミッド型になっている」と説明。「今から対策を始めなければ10年後も同じ議論をすることになる。すぐに行動を起こさなければいけない」と危機感を強調した。
従来、大工育成は個々の工務店が独自に行っていたため限界が見えているのが現実。そのため、昨年7月に工務店有志により企業横断的組織の「大工ネットワーク北海道」を設立し、道ビルダーズ協会の会員工務店を中心に組織立った育成を行う方針を示した。
新人大工の育成は現場実習(OJT)がメインで、日々一緒に働く「指導棟梁」の人間性や技術指導力が重要になる。武部氏は「若手職人を直接指導するのは棟梁。大工を育成できるのは大工だけ」と持論を展開した。
育成方法は3年間で、OJTと社外研修を併用した実践プログラムを実施する。社外研修では職業能力開発センター(ポリテクセンター)と提携し、月2回の座学を行う予定。
道ビルダーズ協会内に大工育成委員会を設置し、指導者育成のためのシステムを確立する。武部氏は「徒弟制度の良い部分を現代風にアレンジして育成システムを確立したい」と意気込んだ。
北海道医学検査学会の磯辺正道会長は「人材育成のためのコミュニケーション学(新人大工育成への応用)」と題して講演した。磯辺氏は、ほめて認めることがマネージメント能力で最も重要と話し「人材育成はやる気を出させることが鍵」と解説した。学ぶ環境には人間関係の構築が重要で、「教えることは学ぶことと同じ意味。『教育』ではなく『共育』することが重要」と話した。
教育には「ティーチングとコーチングの使い分けが必要」と説明。ティーチングは自分の知識を相手に教えることで、コーチングは問いかけによってアイデアなどを気付かせ、自発的な行動を促すことと解説した。
丸三ホクシン建設の首藤一弘社長は「仕事の教え方〜教え方の4段階と作業分解の実績」と題して講演。仕事の教え方を訓練する「TWI」を紹介し、指導者が確実に作業を指導するために必要な「作業分解」について解説した。
TWIはTraining・Within・Industry(企業内訓練)の略。指導棟梁に必要な①仕事②職責③改善④人を扱う⑤教える―の5つの知識を正確に安全に早く覚えてもらえる。
作業分解は、指導者が教える前に自分の頭の中で教えるべき内容を整理し、手順を表に記載して順序良く必要なことを落とさずに説明する指導方法。首藤社長は「作業内容を頭の中で分解してから表でまとめることで説明しやすくなる」と解説した。
TWIの内容に即した正しい教え方を研修会に参加した大工職人に実演。首藤社長は「相手が覚えていないということは教えていないと同じこと。理解するまで教えることが重要」と強調した。
研修会に参加したベテラン大工職人のひとりは「普段はこうした機会が少ないのでとても勉強になった。学んだことを実践できるようにしたい」と話した。