北海道の家づくりデータベース
函館エリア版(渡島・檜山)
2026年(令和8年)4月5日(日曜日)

キクザワ(恵庭市)専務取締役の菊澤章太郎氏に、同社の蓄電池の導入事例について話を聞いた。
2020年に同社として第1号の蓄電池を導入した住宅を竣工。これまでに8棟を施工している。この1棟目は、オール電化と床下エアコンを活用した全館空調を志向する施主の要望で導入された。「この時は、太陽光発電パネルはトリナソーラー製で、パワーコンディショナーと蓄電池はデルタ電子製。5.9kWと4.0kWのパワコン2台でシステムを構成する形だった」と菊澤氏。現在は、パネルは変わらずトリナソーラー製を採用。パワコンと蓄電池は、ダイヤゼブラ電機製が主流という。
また最近では、モデルハウスにファーウェイ製のシステムを実験的に採用しており、「今後は、施主の要望によってダイヤゼブラ製品とファーウェイ製品を使い分けることを考えている」と話した。「ファーウェイ製品はコンパクトさや蓄電容量などのバランスから、比較的狭小な都市部の住宅に。ダイヤゼブラ製品は大容量を活かしてパネルを多く乗せられる比較的大きな住宅に向くのでは」と言い添えた。
蓄電池を採用する施主の傾向について菊澤氏は、「全館空調やオール電化を想定していたり、防災面での備えを重視する家庭で導入のケースが多い」と話す。また、「容量にもよるが、蓄電池1台でおおむね100万円前後のコスト増になる。蓄電池に興味があっても資金に余裕がなければ採用は難しいのが現実」とも。 加えて、補助金を活用できるかどうかは大きな分かれ目になると強調。同社でも過去8件の導入事例のうち半数で札幌市の自家消費型太陽光発電設備導入補助金制度を活用したという。菊澤氏は「補助金が活用できるなら蓄電池の採用は積極的に検討してよいと思う」と考えを述べた。
同社の一般的な例として「消費税、工事費込みで、太陽光パネル9.9kWとパワコン合わせて約160万円。蓄電池は7kWhで約105万円。蓄電池まで入れたシステム全体は270〜300万円程度になる」と菊澤氏。一方で、導入後のコストメリットについては自宅に導入したシステムで2023年に検証。「エアコン1台での全館空調を採用するオール電化住宅で、パネルは約15kW搭載、パワコン9.9kW、蓄電池7kWh、FIT単価19円。この条件での売電収入は年間約16万円。自家消費も年間約16万円分あったので、合計で32万円ほどコストメリットが出ている」と明かす。 しかし、あくまでも一例と強調する菊澤氏。「住まい方や設備、家の形状、立地も太陽光発電システムに大きく影響を与える。個別に効果を検討しなければ、安易に『いくらお得です』とは言えない」と指摘した。
蓄電池に対する需要感について菊澤氏は「皆さん興味は持っている。接客をしていても『蓄電池って実際どうなの?』と、ほとんどの人が知りたがる」と話す。しかし、導入に至らない理由として、メリットの見える化が難しいという点を挙げた。 「太陽光パネルであれば、発電の期待量、売電単価、自家消費量と期間を計算すれば、おおよそのコストメリットが分かる。しかし蓄電池は、どんな電気の使い方をするかで効果が変わる。また、見れば発電量が分かるパネルと違い、諸条件を基に計算しなければ蓄電池だけの効果は見えない。損をしないのは間違いないが、設置によるコストメリットを住まい手が認識しづらい」と吐露。また、「ユーザーは『50万円、100万円は得するんでしょ?』と過度な期待を持ってしまいがちで、そのギャップも相まって壁になっていると感じる」と述べた。 蓄電池について、「無理して入れることはないが、興味があり予算に余裕があるなら導入して後悔はしない」と自身の経験も交えて伝えているという菊澤氏。大切なのは、ユーザーそれぞれの豊かな暮らしのために家や設備があることだと強調した。