北海道の家づくりデータベース
函館エリア版(渡島・檜山)
2026年(令和8年)4月7日(火曜日)
北海道ネオマリーダーズクラブ(NLC)が運営する「これからの住まいを考える会」は2月12日、道外工務店団体交流会を札幌市内で開催した。
関西を拠点に活動する「釿始―CHOUNA HAJIME―(ちょうなはじめ)」のメンバーが来道。同交流会では釿始の2社とNLCを中心とした工務店など5社が講演した。懇親会や現場見学会も行われ、親交を深め合った。

釿始メンバーの西田氏

釿始事務局の南氏
釿始は、工務店を中心に建築関係者や建築業界を目指す学生、施主などが自由に交流する無料のコミュニティ。大阪を中心に関西、東海、中国、四国エリアで活動している。2024年1月に発足し、現在Facebookのグループ登録者数が300に達しているという。 釿始の活動について、事務局を務める南和彦氏が解説した。南氏はヒトモノコト(大阪府八尾市)の代表取締役で、地域工務店向けのブランディングなどを行う「ひとさじのこと」を主宰している。 南氏によると、釿始は新潟県を拠点とする建築コミュニティ「住学(すがく)」との出会いがきっかけで生まれた。住学のように「メンバーの共存共栄を目的としている」と話し、それぞれの得意分野を生かして情報をシェアし、地域により良い建築を広めていくために取り組んでいる。 定期的な勉強会の他、現場見学会を都度実施し、実際の建築について意見交換を行う。昨年はメンバー合同で大規模な展示会にも出展した。 南氏は、コミュニティの中で生まれた新しいコラボレーションの可能性について、住学の事例を紹介した。長野県内の親子二人の小さな工務店が企業の新社屋の建て替えで大型物件を受注。二人だけでは建築が難しいところ、住学の仲間たちが構造や意匠設計、部材調達、申請などそれぞれ得意分野を担い、サポートした。 「普通に考えていたらできないようなことが、今できるようになっている」と南氏。「この機会に、これからのコミュニティでこんなことができたらということを意見交換できると嬉しい」と会場に呼びかけた。
続いて釿始のメンバーから、大幸綜合建設(大阪府東大阪市)の住宅事業部・工事部部長、西田宏則氏が講演した。 テーマは、日本エコハウス大賞2024で新築部門優秀賞を受賞した住宅について。同賞は住宅専門誌「建築知識ビルダーズ」(エクスナレッジ出版)が主催。建築家の伊礼智氏や東京大大学院准教授の前真之氏などが審査員を務める。 受賞したのは、奈良市に建築した延床面積29坪の住宅。西田氏は実際に最終審査でプレゼンテーションしたスライドの一部を用い、設計のポイントを解説した。 土地が古い街並みの風致地区だったため、「奈良の町家らしいファサードを意識した」と西田氏。玄関の目隠しに格子をあしらい、1階は玄関から勝手口まで通り土間を設けた。 リビングと庭をつなぐ中間領域として濡れ縁を設置。庭はリビングと地続きに見えるように、「土を盛ってかさ上げしたことが工夫」と強調した。 全館空調や太陽光発電を搭載しながら、軒や庇で季節の日射遮蔽に配慮。また、内装に地元の吉野杉を使い、施主と一緒に吉野の山や製材工場を見に行ったというエピソードも披露した。
NLCのメンバーは、旭化成建材(東京都)札幌住建・断熱営業課の野村智美氏、リノア(札幌市)代表取締役の松澤総志氏、住まいのウチイケ(室蘭市)統括部長の成田智昭氏、カイトー商会(釧路市)札幌支店長の米本晋太朗氏、そしてオブザーバーとして参加したキクザワ(恵庭市)専務取締役の菊澤章太郎氏が順に講演した。 野村氏はNLCの活動や目的について説明。経営者だけでなく現場の人たちがNLCのつながりを生かし、「日頃の業務活動に反映してほしいという思いで発足した」と語った。 松澤氏は自身の建築スタイルである「チームリノア」について解説。建築家や大工、設備設計者などスキルのある社外のメンバーとチームを組んで仕事を進める。また、自身も発起人である「北海道次世代の会」を紹介。釿始のように学生も含めて、「建築に関係する若手たちと一緒に勉強している」と訴求した。 成田氏は自社で取り組んできた高断熱住宅について解説。性能を標準化し、「住まいのウチイケで建てるとなった時には、もう性能の話は終わっている」と言い、後はデザインを突き詰めるだけという家づくりの流れを話した。 米本氏は、自社が特許を取得したパッシブ換気の全館空調システム「BAQOOL(バクール)」が、NLCのつながりによって広がりを見せていることを説明。住学のメンバーと交流したことで本州の住宅に採用されたり、非住宅のプロジェクトに参画できたりしたことを報告した。「自分たちだけではできないことも、こうしたら面白くなるんじゃないかと提案することが大事」と話し、釿始に対しても「この場をきっかけにつながりができれば」と希望した。 菊澤氏は、ユーザーが建築会社を選ぶのに「三つの壁がある」と提起。第一の壁は基本的な住性能。第二が暖房や空調、薪ストーブ、設計や意匠的な部分。最後の第三の壁が「人」で、菊澤氏は自社について「社員大工が一つの決め手になっている」と話し、さらに設計から現場管理まで同じ人が担当する「一貫担当制が強み」と強調した。