北海道の家づくりデータベース
札幌エリア版(石狩・空知・後志)
2026年(令和8年)4月7日(火曜日)

塩ビ工業・環境協会、(一社)日本サッシ協会、樹脂サッシ工業会の3団体を共同事務局とする樹脂窓リサイクル検討委員会は9月10日、樹脂窓リサイクルシンポジウムを初開催した。全国に先駆けてこれから本格的に樹脂窓の廃棄が始まるとみられる本道において、リサイクルの仕組みや技術を確立するため、関連する業界団体や行政の関係者、学識経験者などが集まり、現状の課題を共有しつつ、今後の取り組みの方向性を探った。
樹脂窓は障子、フレーム部分に樹脂(塩化ビニール)を使用した窓で、アルミ製の窓と比べて断熱性能が高いことから本道では広く普及しており、カーボンニュートラルに向けた住宅の省エネ化の流れから近年、全国的にも急速に普及が進んでいる。
本道で樹脂窓の普及が始まったのが1970年代後半。住宅の更新時期が築40~50年程度とすると、今後廃棄される窓の多くが樹脂製になっていくと想定されるが、再生利用の仕組みや技術は確立されていないのが現状だ。
同委員会は国内の樹脂窓リサイクルシステムの構築を目指し、有識者やサッシメーカーを委員として19年に発足。市場調査や実地調査の他、メーカーと連携してリサイクルに必要な技術的検証などを行っている。
委員長を務める東京大大学院・新領域創成科学研究科の清家剛教授はシンポジウムの冒頭で、これまでの調査により把握した現状の廃棄樹脂窓処理のプロセスやリサイクルに向けた課題について説明した。
現在の樹脂窓の構造では解体、中間処理に大きな手間がかかるが、解体業者や中間処理業者は人手不足が顕著で、「効率的な解体や回収の仕組みが必要」と強調。
また、道内で使用済み樹脂窓を回収して再生する実証実験の結果についても報告し、「実際にできた再生材はJISの基準を満たしており利用可能。ただ金属やナイロンなどの異物を除去し、影響を減らす方法を検証する必要がある」と結論を述べた。
解体業者の立場で参加した西武総業(札幌市)の髙橋佳雅部長は、実際の住宅の解体現場の工程を紹介し、リサイクルに向けた課題を提言。手作業で取り出す手間や回収までの保管場所の問題に言及し、「中間処理業者や行政とも連携して、保管・回収拠点を確保することが求められる」と語った。 中間処理業者の立場からは、日本資源技術(北広島市)の宮本政博社長が樹脂窓リサイクルの高度処理技術について説明。既存の設備では二度の破砕と比重を利用した「ジグ選別」により、不純物を5%まで減らせるが、さらにその5%の不純物を除去した高純度再生樹脂を取り出すためには、また複数の異なる選別方法を組み合わせた高度処理が必要とした。
これらの専門家の意見を受け、武蔵野大工学部の磯部孝行准教授は先進地ドイツの事例を基に国内でリサイクルシステムを実現するための課題を指摘。回収の仕組みづくりや効率的なリサイクル技術の確立に加え、「リサイクルした製品が売れないと意味がない」として、魅力のある再生製品の開発と普及の必要性も強調した。 また、住宅を供給する工務店の立場からは(一社)北海道ビルダーズ協会の代表理事を務めるキクザワ(恵庭市)の菊澤里志社長が参加。「樹脂窓のリサイクルに課題があることは工務店の間でもほとんど認識されていない」としながら、大手ハウスメーカーと工務店の環境意識の差に危機感を示し、「これから大量に発生する樹脂サッシの再利用率を高めていかなければ。工務店も協力していきたい」と前向きな姿勢を見せた。
道内の解体業者や中間処理業者、収集運搬業者などで組織する建設廃棄物協同組合北海道支部の阿部淳支部長は、処理費用優先で埋め立て処分が行われ、処分場の残余容量の減少とともに処分価格が値上がりしている現状を説明。リサイクル推進のためには「排出事業者と処理業者が連携・協力し、組合方式で処理を受託することで適正処理体制の確保やリサイクルルートの開発につなげていくことが重要」と提言した。 行政の立場からは道環境生活部の吉田裕課長補佐が出席。道内の産業廃棄物排出量や再生利用率などのデータを示すとともに、再資源化に関わる制度を紹介した。廃棄物を焼却して熱利用するサーマルリサイクルは「最後の手段」であり、「リユースやリサイクルのさらなる推進が必要」として、とくに建設系混合廃棄物の処理に関しては「排出時の分別が重要になる」と述べた。 シンポジウムの最後には清家氏が進行役を務め、委員会メンバーとゲストとして参加した講師によるパネルディスカッションが行われ、それぞれの立場から今後のリサイクル推進についてさらに検討するべき課題を話し合った。