北海道の家づくりデータベース
札幌エリア版(石狩・空知・後志)
2026年(令和8年)9月14日(月曜日)
新型コロナウイルスの影響でモデルハウスの来場予約は減ったが、ホームページの閲覧や資料請求は増えているという。外出を控えたり、在宅勤務になったりで、家で過ごす時間が多くなったためと考えられる。誰もが手軽にWEBにアクセスできるようになった今、ビジネスシーンでは動画が注目されているそうだ。文字よりも情報伝達力が高く、記憶に残りやすいからだ。自社のPRやブランディングのため、早くから動画を取り入れてきた本州と道内の2つの住宅会社に、その活用について話を聞いた。
相羽建設(東京都東村山市)は、早くから顧客とのコミュニケーションに動画を活用してきた。
2011年から営業スタッフがユーチューブ(世界最大級の動画共有サービス)にそれぞれのチャンネルを設けて「AIBA放送」を配信。相羽建設の日々の出来事をテーマに、現場工事の進捗状況をはじめ、モデルハウスの紹介やイベントの案内、家づくりのノウハウ、時にはスタッフの日常の暮らしのことなど、視聴者に語りかけるように発信している。
同社広報統括の伊藤夕歩氏は、社員が作る動画について、「社風や自社の価値観に沿っていれば、内容は自由です。相羽建設は、ワクワクすることがモットー。面白いと思っていただけるものを発信できれば」と話す。
3年前に初めて、プロの動画クリエイターに依頼してイベントのプロモーションビデオを制作した。きっかけは、ある家づくりを記録する撮影に携わったことだった。
「施主もDIYをして、建築家と一緒に作り上げていく家だった。皆が楽しんでいる様子をプロの動画クリエイターが映像にすると、リアルに楽しさが伝わってきた。やはり、仕上がりのクオリティが大事と思い、そのクリエイターに手しごとフェスタという毎年開催しているイベントのイメージ動画を作ってもらった」
同社は地域や人とのつながりを大切に、年間を通じて多彩なイベントを開催している。その案内に動画を活用することが多い。広報スタッフで撮影・編集する場合もある。
「会場の雰囲気や空気感は、動画だから伝えられること。例えば、参加した子どもたちの真剣な表情や笑い声、音などは臨場感がある。動画を見てワクワクした人たちに来てもらえたら」と伊藤氏。
動画の再生回数は400〜500回ほど。著名な建築家が出演したセミナーなどは、7000回を超えることもある。
外注の制作費の相場は、長さや内容によるが、動画1本につき10万〜30万円ほどという。
首都圏の住宅会社による動画活用の動きについて、伊藤氏は「自社の特色を告知するものより、家づくりの知識を伝えるユーチューバーとしての発信がユーザーを増やしているようだ」と話す。家づくりを解説するユーチューバーの人気チャンネルでは、再生回数が20万回を超える動画もある。ただ、それは作り込みと際立つ個性が必要とされる。
今後の展開について伊藤氏は、「職人のありのままを撮るのも面白いのではと思っている。仕事へのひたむきさを知ってほしい」。
様々な情報を得られるWEBの世界で顧客が知りたいのは、その会社の「本当の顔」だ。動画は写真や文章以上に、表情や仕草などで人柄をリアルに伝える。人を映す動画が、顧客との信頼関係を築く最初の一歩になる。

ジョンソンホームズ(札幌市)は、ユーチューブに「ジョンソンTV」という公式チャンネルを設け、ブランドごとに動画を配信している。
ブランドの一つである「インゾーネ」の新築・リノベーションの広報を担当している同社マーケティング部の浅川真由美氏は、約7年前から動画を取り入れてきた。
「インゾーネのインテリアショップに家具や雑貨を買いに来るお客様に、家づくりのことも知ってほしいと思った。映像を流せば、買い物の途中に目をとめてくれるのではと考えた」と浅川氏は話す。インゾーネが展開する衣食住全般のプロモーションビデオやモデルハウスを準備するシーンなどを映像化。ダイレクトな反響はなかったものの、動画でしか伝わらないことがあるからと、年に1〜2本の動画制作を続けている。
「動画の良さは、言葉や文章では伝えづらい臨場感やリアリティを感じてもらえること。例えば、オーナー様の家を紹介する動画では、当社を選んでいただいた経緯をオーナー様に話してもらうことにしている。映像で実際に見られると、営業マンの言葉だけより信頼性が高まる」
動画作りで大切にしていることは、「ブランドらしさ」と浅川氏。どの動画も雰囲気や空気感などが共通している。撮影や編集は、プロの動画クリエイターに依頼している。ずっと同じクリエイターなので、ブランドらしさを知り尽くしている。
「こちらで構成したものを渡したら、撮影は任せている。一度編集してもらい、それを元に修正を加えながら完成させる。プロに頼むと手間と時間が省けるし、品質も安定する」
動画の制作費は、1分〜1分30秒で1本につき5万円ほど。労力を考えれば、内部スタッフで自主制作するよりコストパフォーマンスが良いという。
他にも動画の活用としては、SNSのインスタグラムに10秒程度のイラスト動画をアップすることがある。目的はセールや見学会参加募集の告知だ。写真が多い中、動画にすることで新鮮な印象を与えることができる。「インスタは反響がストレートに返ってくるところがいい。次の施策につなげるため、どの媒体も反響は大事」と話す。
次の展開としては、「5Gになるので、もっと本数を増やしたり、長編にしたり、内容を充実させて動画を活用していきたい」と意欲的だ。
5Gは第5世代移動通信システムのこと。3月末より順次サービスが提供される予定だ。これまでの4Gより通信速度が約100倍といわれ、動画の送受信が簡単に行えるようになる。テレビCMが動画であたり前のように、5Gによってネット広告も動画があたり前の時代が来るといわれている。
顧客とのコミュニケーションツールとして、動画の活用は待ったなしかもしれない。
