【第3回】住宅展示場で「忍び」に出会う
とくに印象的だったのが担当者の対応でした

住宅展示場の広告制作に、25年ほど携わってきました。当然ですが、取材や撮影などの仕事で何度も住宅展示場を訪れてきましたが、まさか自分が来場客として訪れる日が来るなんて思いもしませんでした。中古の戸建住宅に10年間住み続けました。しかし、あまりの安普請に妻がついに悲鳴をあげて建て替えを決断。今から17年前のことです。その経緯は前回のコラムに詳述しました。家づくりで最初にやるべきことは情報収集です。Webサイトや住宅雑誌も貴重な情報源ですが、平面的でしかもワンウェイ。その点、住宅展示場は実物を体感でき、住宅会社の担当者と直接話ができるメリットがあります。我が家も家づくりの手始めに、住宅展示場を見学することにしました。
仕事柄、住宅会社に関する情報は多少持っていたので工法・性能・価格の面から6社ほど選び、モデルハウスを2日間かけて見て回りました。現在は実生活に即した造りのモデルハウスも数多くありますが、当時はやたらと広くて豪華なものばかり。「なんかスゴイね」と目を丸くしている妻に「広さとかインテリアに惑わされないで、プランを考えるヒントにすればいいんだよ」なーんて、いかにも住宅展示場の通人を気取った僕でしたが、仕事で来た時は「やたらと広い豪華な造り」なんて思ったことはありませんでした。重要なポイントは、広告映えするかどうかでした。立場が変わると、見え方も変わるもんだなあと感じたものです。
各モデルハウスを見学して、とくに印象的だったのが担当者の対応でした。見て回る際の距離感が違うんです。「どうぞご自由に」という感じの「放任型」もあれば、一緒に回って逐一説明する「密着型」もありました。「放任型」は物足りなく、「密着型」は少し息苦しく感じられました。もちろん僕の個人的な感想であり、客によって接客へのニーズは異なるでしょう。
その中で、とても好感の持てる担当者に出会いました。「付かず離れず型」とでも言いましょうか。僕たちが興味を示すと、どこからともなく現れて説明してくれるのです。例えば、ベッドスペースと収納スペースが本棚で緩やかにエリア分けされていた洋室。僕が「ほう!」と言うと担当者が近づいてきて、間仕切りしつつ部屋の開放感を保つための工夫であると説明してくれるのです。「お子様のお部屋ですか?」。担当者の言葉に「仕事部屋に使えるアイデアだなと思って」と、思わず答えている僕。客のニーズを何気なく引き出すテクニックにも感心しました。話が終わると、その場を離れ、また現れる。僕は「殿様に仕える忍び」のようだと思ったものです。きっと応対チャンスのセンサーみたいなものを身につけているんでしょうね。おかげで気兼ねなく見て回りながら、有益な情報を得ることができました。
一通り見終わり、駐車場に向かう途中、比較的こぢんまりとしたモデルハウスが目に留まり、見学することにしました。その時は、この住宅会社が家づくりのパートナーになるとは考えもしませんでした。わが家の家づくりは、いよいよ業者選びへと進んでいきます。











