北海道の家づくりデータベース
札幌エリア版(石狩・空知・後志)
2026年(令和8年)6月10日(水曜日)
武部建設(岩見沢市、武部豊樹社長)はこのほど、道内初の木造耐火建築物となる障がい者福祉施設「山麓郷(さんろくごう)」を札幌市内に竣工した。
オーナーは社会福祉法人大藤福祉会(札幌市)。同社が木造で3階建以上の非住宅建築物を施工するのは初めて。
施設は3階建の特定建築物のため、(一社)日本木造住宅産業協会取得の耐火構造に関する国土交通大臣認定と国交省告示のマニュアルを基に耐火構造を施工した。延べ床面積は398.40㎡。
石膏ボードを防火被覆材として施工し、構造体全体を包み込んだ。使用した石膏ボートは3500枚で重量は約60トンになるという。
石膏ボードは外壁、内壁、床にそれぞれ21㎜厚を2枚ずつ、天井に21㎜厚と15㎜厚を1枚ずつ、屋根面には21㎜厚1枚を施工した。
耐火構造の床や天井には、既製のアルミや樹脂製の点検口を設置できないため、石膏ボードを組み合わせて作製した。また、天井にビス打ちした部分は火災時に熱が回らないよう、パテで埋める工夫を施している。
全面をボードで覆うため、ボード張りが終わらなければすべての工程が進まない点に苦労したという。
この規模の福祉施設には珍しく、エレベーター、火災報知器、スプリンクラー、防火扉が設置されている。
同社は同じオーナーが運営する保育園も施工した。保育園は木造2階建。オーナーの意向で全面に道産カラマツの無垢材を使用している。延べ床面積は471.97㎡。
保育園の2階は地域交流スペースとして広く開放する予定。柱には杉の丸太を、梁には道産カラマツを丸太のまま採用した。「ここまでの大きさの丸太を採用した例は少ない。大工技能の見せ所になった」と話す。
福祉施設、保育園ともに設計は大久手計画工房(愛知県名古屋市)が担当。本州で高齢者施設や福祉施設の設計を多く手掛けているが、道内物件の設計は初めて。断熱・気密設計に関しては武部建設と陽建築工房(帯広市)が協力した。武部建設の担当者は「同じような規模の福祉施設や保育園に比べて断熱・気密性能はかなり高くなっている。住宅施工のノウハウを活かすことができた」という。
オーナーは「道内だからできる環境づくりをコンセプトに、木造の柔らかい雰囲気を感じられる空間になった」と話している。