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工務店のための片付く家の作り方《整理収納のプロに聞く!》

施主が満足する収納を家づくりに取り入れるためにはどうしたらいいのか。整理収納アドバイザーとして多くの住宅に携わってきた川村あゆみ氏に話を聞いた。



整理収納アドバイザー・片付け研究家
SkipLife代表 川村あゆみ
収納部分を何度も見返したくなる「うっとり収納」を得意としている。大進ホームの「ラクいえ」を監修。
整理収納アドバイザー1級、整理収納アドバイザー2級認定講師、親・子の片づけマスターインストラクター、ルームスタイリスト1級。


施主はなぜ後悔するのか?

新築の家が完成してから、収納に困って相談に来られる人も少なくありません。ここに置きたいものがあるのに収納スペースがない。逆に収納はあるのに置くものがなく、どう使えばいいのか分からないなど、適材適所に収納場所が作られていないのが現状です。注文住宅は施主の望み通りにできる自由設計なのに、どうしてこのようなことが起きるのでしょう。主な原因は二つあります。

一つ目は、施主が自分の持ち物を正確に把握できていないこと。例えば「洋服の数は多いですか?」と聞いても、他の人と比べたことがないので施主は自分の感覚で答えます。でも本人が「多い」と言っても、何百件もの家を見てきた私からすれば平均よりだいぶ少ないことがあります。自分たちがどれくらいのモノを持っていて、どれだけの収納があれば事足りるのかを分かっていないまま家づくりをしているのです。

二つ目は、施主は新しい家でどんな暮らしをするのかをイメージできていないこと。家を建てたら理想の暮らしができるだろうと漠然と思っていらっしゃる方がいます。それは順序が逆で、家を建てる前に望む暮らしを深堀りしていくことが大切です。
子どもがスポーツに夢中になっていたら、土間収納など玄関近くに汚れものを置けるスペースがあったほうがいいでしょう。そんな風に暮らし方を一つ一つ具体化することで必要な収納が見えてきます。


「干す」「しまう」の洗濯動線に配慮したユーティリティ。ワイドなカウンターがあるとアイロンがけやたたむ作業がしやすい。

整理収納の正しい手順は?

施主もそうですが、家を建てる設計者も整理収納の基本や正しい手順を知らない人が多いのではないでしょうか。手順が分かればいつもすっきりとした片付く家になります。

基本は①整理②収納③片付け④掃除――の順に行うことです。①の整理は、モノを選別する行為。好きなものや使うもの、必要なものを選ぶことです。「捨てる」という考えはネガティブになりがちですが、「選ぶ」となれば前向きでポジティブになれます。

②の収納は、①で選んだモノを使いやすくするための仕組みづくり。かつてモノが少なかった時代、収納とは「モノをしまうこと」でした。今でもそう思っている人はいるでしょう。でもモノが溢れている現代は「大事にしまっておく」のではなく、「使ってあげる」ことがモノを大事にすることです。

③の片付けは、使い終わったモノを元の場所に戻す行為。収納が使いやすければ片付けは簡単にできます。逆に収納が適材適所にないと片付けが上手にできず、モノが散らかったままになってしまいます。

④の掃除は、家をきれいにすること。掃いたり拭いたり、毎日の行為です。
こうして手順を追うと、②の収納がすっきりとした暮らしの土台であることが分かります。片付けができないのは個人の能力不足ではなく、適材適所の収納がないことが原因と理解できるでしょう。ここを踏まえれば施主が満足する家づくりができると思います。

適材適所を提案するには?

まず施主が今の暮らしで持っているモノを知ることが必要です。例えば家族の靴の量が少なければ「L型の大きな玄関収納よりもカウンタータイプの下駄箱で十分ですね」と提案できます。そこで奥様から「それならフラワーコーディネートを習っているので花が飾れますね」と喜ばれたら施主の満足度が上がります。

ウォークインクローゼットも一家に一つあるのが当たり前と思われがちですが、今は服にこだわる男性も多いので夫婦別々のクローゼットのほうが使いやすい場合があります。
施主の持ち物の量を知るには、実際に今住んでいる家を見せていただくことが一番です。

以前、建築士の人と一緒にお伺いしたことがありますが、その施主の方は蔵書がたくさんあり、本棚を造作することが決まっていました。建築士が蔵書を確認すると奥行きのある大型本が何冊もあり、プランニングしていた本棚でははみ出してしまうことが分かりました。そのまま本棚を作ってしまっていたら、作り替えの追加工事が発生することになったかもしれません。

次に、どんな暮らしをしたいのかについて施主と共通認識を持つことが大切です。暮らし方によってモノの置き場所が決まります。
食器集めが趣味だったり、お掃除ロボットなど電化製品を多く使ったりするかによっても収納プランが変わってきます。一日の動きによって何をどこに置くのかを考えれば、適切な収納プランが導き出されます。

適材適所に収納があると、ラクに片付けられる家になります。すっきりとした暮らしができてストレスが無くなり、時間にも余裕が生まれます。そうした家は施主の満足度がずっと高いものになるでしょう。

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