北海道の家づくりデータベース
札幌エリア版(石狩・空知・後志)
2026年(令和8年)8月31日(月曜日)
SANKEIは「住まいのワンストップサービス」を掲げ、戸建住宅やアパートの新築・リフォームを行う建築部門と不動産売買・仲介や賃貸管理を行う不動産部門が連携しながら顧客のあらゆる要望に対応できる体制を整えている。そのため、不動産部門で扱う物件の修繕が建築部門の安定的な仕事となったり、建築部門で建てた物件のオーナーから不動産売買の相談が入ったりといった相互作用が常に働いている。
コロナ禍以降のここ数年は、相続に関する相談が増えているという。今年2月には賃貸管理を受託していた物件のオーナーから物件を売却したいという話が2件あり、同社が買い取って自社所有物件とした。オーナーが高齢になり、今後の運用について同社に相談した中で、子どもが相続を望まなかったため、売却することになった。
こうした相続物件では子どもが遠方に住んでいて処分を望むケースも多いが、ただ不動産業者につないで仲介手数料を得るより、自社で買い取った方が長期的に利益を生むという判断だ。
どちらも築年数は古いが地下鉄駅から徒歩2~3分の好立地。元々管理していた物件だから建物の状態も把握しており、最低限の修繕だけであと10年間はそのまま運用することに。住人もそのまま住み続けている。
同社の湯浅岳雄社長は「10年経った時、リノベーションしてさらに運用するか、建て替えて高付加価値物件にするか、更地にして建築条件付き土地にするか、どのようにでもできるのが強み」と話す。札幌市内で地下鉄駅徒歩圏内の好立地を確保するのは通常は難しいが、オーナーと長年の信頼関係があるから相談が来るし、買い取りの話もスムーズに進む。
昨年も同社が建てたアパートのオーナーから相続対策でアパートを建て替えたいという相談があり、2棟あるうちの1棟を同社が買い取り、それを資金にもう1棟を建て替えた。
同社は今後、賃貸管理を経営の柱の一つとして、こうした相続物件の相談にも積極的に対応していく。そのため、湯浅氏の他、不動産部門と賃貸管理の責任者、建築部門の責任者がそれぞれ日本賃貸住宅管理協会の認定資格「相続支援コンサルタント」を取得し、相続税や贈与税、遺言、後見制度、民事信託など幅広い知識を学んだ。
「今後ますます高齢化が進む中で、建築と不動産を扱う会社にとって相続は必ずついて回る問題。相談を受けた時、知らない分野だから放り出すのではなく、知識と経験があればさまざまな選択肢から一番いい方法を提案できる」と語る湯浅氏。「困った時に何でも相談できる窓口」になることこそ地域工務店の生き残る道と、これから来る大相続時代を見据えている。